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RLC直列共振回路
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RLC直列共振回路って何?
交流回路でRLC直列共振回路というのがあります。このRLC直列共振回路とはどんな回路なのでしょうか?
RLC直列共振回路の回路図を書いてみると、次のような回路になります。
あれ? 抵抗 $R$ 、コイル $L$ 、コンデンサ $C$ を直列にただ接続しただけのRLC直列回路と同じですね?
RLC直列共振回路を回路図で書くと、このようにただのRLC直列回路なのですが、RLC直列回路とRLC直列共振回路では、もちろん「意味」が違います。ここでいう「意味」とは、「回路の特性が違う」ということです。(どちらもRLC直列回路であることには変わりありませんが…。)
では、2つの回路の特性は何が違うのでしょうか?
2つの回路の名称を見比べてみると、共振という言葉があるか?ないか?が違いますよね?
RLC直列回路 ← 「共振」って書いてない
RLC直列共振回路 ← 「共振」って書いてる
つまり、共振するRLC直列回路をRLC直列共振回路と呼んで区別しているんですね。
ところで、共振とは何なのでしょうか? 直列共振すると、どういう状態になるのでしょうか?
完全に直列共振すると、先ほどのRLC直列回路が次のようになります。
コイルとコンデンサがなくなってんじゃん!
あ、当たり前ですが、コイル $L$ とコンデンサ $C$ のモノがなくなってしまった、という訳ではありませんよ。RLC直列共振回路を電気的に考えると、コイル $L$ とコンデンサ $C$ がないのと同じ状態(コイルとコンデンサを短絡したのと同じ状態)になるということです。(上の図はイメージです。)
つまり、RLC直列回路が完全に共振状態の場合、その回路のインピーダンスは電気的に抵抗 $R$ だけになるということです。
へー、そうなんだ? そうなんですよ!
でも、本当に回路がそんなことになっちゃったりするの? と思ったりしますよね、たぶん…。
では次に、
本当に回路がそんなことになっちゃったりすることができるのか?
RLC直列回路のインピーダンスの式から考えてみましょう。
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RLC直列回路のインピーダンスの式と共振条件
RLC直列回路のインピーダンス $\dot{Z}$ の式は、次のようになりますね。( $\omega$ は角周波数( $\omega = 2 \pi f$ )です。)
$\dot{Z} = R + j \omega L + \dfrac{1}{j \omega C}$
このままだとなんなので、この式を虚数単位 $j$ でもうちょっと整理すると、
$\dot{Z} = R + j \omega L + \dfrac{1}{j \omega C}$ $= R + j \omega L + \dfrac{j \times 1}{j \times j \omega C}$ $= R + j \omega L + \dfrac{j}{-\omega C}$
$= R + j \omega L - j \dfrac{1}{\omega C}$ $= R + j \left( \omega L - \dfrac{1}{\omega C} \right)$
$\therefore \dot{Z} = R + j \left( \omega L - \dfrac{1}{\omega C} \right)$ [$ \mathrm{\Omega} $] …① となります。
この①式をみていると、あることに気付いてしまったりします!
どうですか? ・・・
もし仮に①式のコイルのリアクタンス $\omega L$ とコンデンサのリアクタンス $\dfrac{1}{\omega C}$ が同じ値だったら、インピーダンス $\dot{Z}$ は抵抗の $R$ だけになってしまいますよね? つまり、
$\dot{Z} = R + j \left( \omega L - \dfrac{1}{\omega C} \right)$ $= R + j \times 0 = R$
$\therefore \dot{Z} = R$ [$ \mathrm{\Omega} $]
ね? ①のRLC直列回路のインピーダンスの式からコイル $L$ とコンデンサ $C$ がなくなってしまいました。
この $\dot{Z} = R$[$ \mathrm{\Omega} $]がRLC直列回路が直列共振しているときのインピーダンスで、「コイル $L$ のリアクタンス $\omega L$ とコンデンサ $C$ のリアクタンス $\dfrac{1}{\omega C}$ の値が等しい」というのがRLC直列回路が直列共振するための条件になります。
RLC直列共振回路の共振周波数
ついでに、共振周波数についても説明しておきます。
共振周波数とは回路が共振するときの周波数のことで、RLC直列共振回路の場合、直列共振周波数と言ったりします。この直列共振周波数は、回路の共振条件から求められます。
RLC直列回路が直列共振するための条件は、
「コイル $L$ のリアクタンス $\omega L$ とコンデンサ $C$ のリアクタンス $\dfrac{1}{\omega C}$ の値が等しい」
でした。なので、つまり式で書くと、$\omega L = \dfrac{1}{\omega C}$ …② になります。
角周波数 $\omega$ は周波数を $f$ とすると $\omega = 2 \pi f$ と表わされるので、$f$ を $f_0$ として②式に代入します。すると、
$2 \pi f_0 L = \dfrac{1}{2 \pi f_0 C}$ となります。これを $f_0$ について解きます。
$2 \pi f_0 L \cdot 2 \pi f_0 C = 1$ 、 $4 \pi^2 {f_0}^2 L C =1$ 、 ${f_0}^2 = \dfrac{1}{4 \pi^2 L C}$
$f_0 = \dfrac{1}{\sqrt{4 \pi^2 L C}} = \dfrac{1}{2 \pi \sqrt{L C}}$
$\therefore f_0 = \dfrac{1}{2 \pi \sqrt{L C}}$ [$ \mathrm{Hz} $] (←これがRLC直列共振回路の共振周波数の式)
となり、これがRLC直列共振回路の共振周波数になります。
式をみると分かるように、共振周波数は、コイルのインダクタンス $L$ とコンデンサの静電容量 $C$ の値で決まります。
つまり、コイルのインダクタンス $L$ とコンデンサの静電容量 $C$ に適当な値を選ぶことで共振周波数を調整することができるということになります。これ大事!
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RLC直列回路の共振周波数とインピーダンスの大きさの関係
RLC直列回路の共振周波数とインピーダンスの大きさの関係をグラフ(概形)で書いてみると、次のようになります。
グラフをみると分かるように、RLC直列回路のインピーダンスの大きさは、共振周波数のときに最も小さくなり( $| \dot{Z} | = R$ )、共振周波数から外れるほど大きくなります。(ちなみに、RLC並列共振回路の場合にはこれとは反対で、共振周波数のときにインピーダンスが最も大きくなります。)
なので、共振周波数のときは、インピーダンスが最も小さくなるので回路に流れる電流は最も大きくなります。
これを応用したのがフィルタという回路で、ある一定の周波数領域の信号だけを取り出したいときなどに使われています。
RLC直列回路が共振しているときと共振していないときのインピーダンスのベクトル図の例
RLC直列回路のインピーダンスのベクトル図は、コイルのリアクタンス $\omega L$ の大きさとコンデンサのリアクタンス $\dfrac{1}{\omega C}$ の大きさで次の図1〜図3のように変わります。
RLC直列回路が共振しているときにはコイルのリアクタンスとコンデンサのリアクタンスが等しいので図1のベクトル図になり、共振していないときにはコイルのリアクタンスとコンデンサのリアクタンスの大小関係で図2または図3のようになります。
RLC直列共振回路のまとめ
RLC直列共振回路についてまとめると次のようになります。
- RLC直列回路を共振周波数で使うとRLC直列共振回路
- RLC直列共振回路の共振周波数は、$f_0 = \dfrac{1}{2 \pi \sqrt{L C}}$
- RLC直列回路が共振しているとき、インピーダンスは最も小さくなり、その大きさは $| \dot{Z} | = R$
共振回路は電気で色々幅広く使われているので、基本的なことだけでもおぼえておくようにしましょう!
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RLC並列共振回路については、こちらのRLC並列共振回路のページを参考にしてみてください。
RLC直列回路の合成インピーダンスについてはこちら
⇒ 交流回路の合成インピーダンスの計算(RLC直列回路)
RLC直列回路の電圧と電流の計算とベクトル図についてはこちら
⇒ 交流回路の電圧と電流の計算とベクトル図(RLC直列回路)
を参考にしてみてください。
交流回路の合成インピーダンスの計算(RLC並列回路) ←BACK
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