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正弦波交流波形の実効値はなぜ最大値÷√2か?

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正弦波交流波形の実効値と最大値の関係はよく知られているように、

 

実効値=最大値÷$\sqrt{2}$

 

という関係になります。

 

これはみなさんもよく知っていることかと思いますが、では、

 

なぜ、最大値を $\sqrt{2}$ で割れば実効値になるのでしょうか?

 

これは、次の実効値の定義式を使って、正弦波交流波形の実効値の計算をしてみると分かります。

 

実効値の定義式

ある周期 $T$ の関数 $f \left( t \right)$ の実効値は、次式で与えられる。

 

$f \left( t \right)$ の実効値 $= \sqrt{\dfrac{1}{T} \displaystyle\int_0^T f \left( t \right)^2 \, dt}$ …①

 

①の実効値の定義式は、関数 $f \left( t \right)$ を2乗して $0 \sim T$ の範囲で積分し、それを周期 $T$ で割って、さらにルートをとると、それが関数 $f \left( t \right)$ の実効値になりますよ、という式です。

 

なので、①式の $f \left( t \right)$ のところに正弦波交流波形の式を入れて計算すれば、正弦波交流波形の実効値を求めることができます。

 

では、①式に正弦波交流波形の式を入れて実効値の計算をしてみます。

 

 

正弦波交流波形の実効値

正弦波交流波形の最大値を $V_m$ とすると、正弦波交流波形の式(瞬時値の式)は次のように表わせます。

 

$v \left( t \right) = V_m \sin \omega t$ …② (←この $v \left( t \right)$ が先ほどの実効値の定義式①の $f \left( t \right)$ に相当します。)

 

正弦波交流波形のグラフ

 

すると①式より、$v \left( t \right)$ の実効値 $V_{rms}$ は、次の式で与えられます。( $T$ は周期です。)

 

$V_{rms} = \sqrt{\dfrac{1}{T} \displaystyle\int_0^T v \left( t \right)^2 \, dt}$ …③

 

この③式を計算すると、正弦波交流波形の実効値が求められます。

 

$V_{rms} = \sqrt{\dfrac{1}{T} \displaystyle\int_0^T v \left( t \right)^2 \, dt}$ $= \sqrt{\dfrac{1}{T} \displaystyle\int_0^T \left( V_m \sin \omega t \right)^2 \, dt}$ $= \sqrt{\dfrac{1}{T} \displaystyle\int_0^T {V_m}^2 \sin^2 \omega t \, dt}$

 

${V_m}^2$ は定数なので、積分の外に出します。

 

$V_{rms} = \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{T} \displaystyle\int_0^T \sin^2 \omega t \, dt}$ …④

 

三角関数の倍角の公式より $\sin^2 \omega t = \dfrac{1 - \cos 2 \omega t}{2}$ なので、これを④式に代入します。

 

$V_{rms} = \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{T} \displaystyle\int_0^T \dfrac{1 - \cos 2 \omega t}{2} \, dt}$ $= \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{2T} \displaystyle\int_0^T \left( 1 - \cos 2 \omega t \right) \, dt}$

 

$= \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{2T} \left[ t - \dfrac{\sin 2 \omega t}{2 \omega} \right]_0^T}$ $= \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{2T} \left\{ \left( T - \dfrac{\sin 2 \omega T}{2 \omega} \right) - \left( 0 - \dfrac{\sin\left( 2 \omega \cdot 0\right)}{2 \omega} \right) \right\}}$

 

$= \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{2T} \left( T - \dfrac{\sin 2 \omega T}{2 \omega} \right)}$

 

ここで、$\omega T = 2 \pi$ なので、( $\because \omega = 2 \pi f$ 、$\omega = 2 \pi \cdot \dfrac{1}{T}$ $\therefore \omega T = 2 \pi$ )

 

$V_{rms} = \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{2T} \left( T - \dfrac{\sin 4 \pi}{2 \omega} \right)}$

 

また、$\sin 4 \pi = 0$ なので、

 

$V_{rms} = \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{2T} \left( T - 0 \right)}$ $= \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{2T} \cdot T}$ $= \sqrt{\dfrac{{V_m}^2}{2}}$ $= \dfrac{V_m}{\sqrt{2}}$

 

$\therefore V_{rms} = \dfrac{V_m}{\sqrt{2}}$ …⑤

 

したがって⑤式より、

 

最大値を $\sqrt{2}$ で割ると実効値

 

になることが分かりました。

 

補足

実効値の添え字(rms)について

実効値の添え字にはよく「rms」が使われますが、これはRoot Mean Square value(二乗平均平方根値)の略で、それぞれRoot=ルート(平方根)、Mean=平均、Square=2乗、value=値という意味です。

 

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