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力率とは?(力率と位相の関係)
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またまた、力率って何でしょうか?
力率と電力の関係については、力率とは?(力率と電力の関係)のページで解説しましたが、ここでは、力率と位相(位相差)の関係について説明します。
力率は、電圧と電流の位相差を $\theta$ とすると、次のように表わされます。
力率:$\cos\theta$ …①
つまり力率は、位相差 $\theta$ の $\cos$(余弦)の値ということになります。
①式を見ると、位相差 $\theta$ が分かれば力率 $\cos\theta$ が分かるということは容易に分かりますが、それでは次に、抵抗、コイル、コンデンサの回路について位相差を求めて、その位相差から力率を求めてみようと思います。
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抵抗だけの回路の力率
図1のような抵抗 $R$ だけの回路について考えます。
位相差を求めるためには、回路にかかる電圧と回路に流れる電流のベクトル図を書いて、その電圧ベクトルと電流ベクトルがなす角(角度)を求めればよく、その求めた角(角度)が位相差になります。
では、図1の回路の電圧ベクトルと電流ベクトルを求めてみましょう。
回路にかかる電圧を $\dot{V}$、回路に流れる電流を $\dot{I}$ とします。(図2)
すると、負荷は抵抗 $R$ だけなので、電圧と電流の関係は次のようになります。
$\dot{V}=R\dot{I}$ …②
この②式の意味は、
「電流ベクトル $\dot{I}$ を $R$ 倍すると電圧ベクトル $\dot{V}$ になりますよ」
という意味なので、つまり、電圧ベクトルと電流ベクトルは同じ向きになります。いわゆる同相ってやつですね。
したがって、それぞれのベクトル図を描くと図3のようになります。
図3より、電圧ベクトルと電流ベクトルのなす角は0°なので、この場合の位相差は0°になります。
したがって、求めたい力率 $\cos\theta$ は、$\cos\theta =\cos 0^\circ =1$
$\therefore$ 力率 $\cos\theta =1$
となります。
抵抗だけの回路の場合、電圧ベクトル $\dot{V}$ と電流ベクトル $\dot{I}$ の向きにズレがないので力率は「1」になります。
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コイルだけの回路の力率
図4のようなコイル $L$ だけの回路について考えます。
この図4についても、抵抗だけの回路と同じように位相差を求めてみますよ。
回路にかかる電圧を $\dot{V}$、回路に流れる電流を $\dot{I}$ とします。(図5)
すると、負荷はコイルだけなので、電圧と電流の関係は次のようになります。
$\dot{V}=j\omega L\dot{I}$ …③
おっと、コイル $L$ のインピーダンスは $j\omega L$ ですよ。これはいいですよね?
③式の意味は、
「電流ベクトル $\dot{I}$ を $\omega L$ 倍して90°反時計方向に回転すると電圧ベクトル $\dot{V}$ になりますよ」
という意味なので、つまり、電圧ベクトルと電流ベクトルは90°ズレています。
したがって、それぞれのベクトル図を描くと図6のようになります。
図6より、電圧ベクトルと電流ベクトルのなす角は90°なので、この場合の位相差は90°になります。
したがって、求めたい力率 $\cos\theta$ は、$\cos\theta =\cos 90^\circ =0$
$\therefore$ 力率 $\cos\theta =0$
となります。
このように、コイルだけの回路の場合、電圧ベクトル $\dot{V}$ と電流ベクトル $\dot{I}$ に90°のズレがあるので力率は「0」になります。
コンデンサだけの回路の力率
図7のようなコンデンサ $C$ だけの回路について考えます。
この図7についても、同じように位相差を求めます。
回路にかかる電圧を $\dot{V}$、回路に流れる電流を $\dot{I}$ とします。(図8)
すると、負荷はコンデンサ $C$ だけなので、電圧と電流の関係は次のようになります。
$\dot{V}=\dfrac{1}{j\omega C}\dot{I}$ …④
またまた、おっと、コンデンサ $C$ のインピーダンスは $\dfrac{1}{j\omega C}$ ですよ。
④式を分かりやすいように、ちょっと変形します。
④式の分母と分子に $j$ をかけると、
$\dot{V}=\dfrac{1}{j\omega C}\dot{I}=\dfrac{j\times 1}{j\times j\omega C}\dot{I}$ $=\dfrac{j}{-1\times\omega C}\dot{I}$ $=-j\dfrac{1}{\omega C}\dot{I}$
$\therefore\dot{V}=-j\dfrac{1}{\omega C}\dot{I}$ …⑤ となります。
⑤式の意味は、
「電流ベクトル $\dot{I}$ を $\dfrac{1}{\omega C}$ 倍して90°反時計方向に回転し、さらに180°ひっくり返すと電圧ベクトル $\dot{V}$ になりますよ」
という意味で、分かりやすいように図で説明すると、次のようになります。(図9)
つまり、この場合のそれぞれのベクトル図は図10のようになります。
図10より、電圧ベクトルと電流ベクトルのなす角は90°なので、この場合の位相差は90°になります。
したがって、求めたい力率 $\cos\theta$ は、$\cos\theta=\cos 90^\circ=0$
$\therefore$ 力率 $\cos\theta=0$
となります。
このように、コンデンサだけの回路の場合、電圧ベクトル $\dot{V}$ と電流ベクトル $\dot{I}$ に90°のズレがあるので、コイルだけの回路と同様に、力率は「0」になります。
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