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ジュール熱とジュールの法則
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次のように、抵抗に電池を接続してみます。
すると、抵抗に電圧がかかるので、抵抗には電流が流れます。
そして、この抵抗を触ってみると…
となります。
この「あちっ!」っとなるのは、
抵抗に電流が流れると、抵抗から熱が発生する
からなんです。(抵抗を触ってみたら熱かった!なんて経験したことないでしょうか?)
電流が流れることによって熱が発生するのは抵抗だけではなく、金属(例えば、電線)などでも熱が発生します。(電線にも抵抗はあるので、電線も抵抗といえば抵抗ですが…。)
細い電線に大きな電流を流してみると…
となります。
このように、抵抗や金属などの導体に電流が流れると、導体から熱が発生します。
この導体から発生する熱をジュール熱といいます。
電気をよく通すものを導体、ほとんど通さないものを絶縁体(または不導体)といいます。導体と絶縁体については、こちらの導体と絶縁体(不導体)のページを参考にしてみてください。
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ジュール熱はなぜ発生するのか?
ジュール熱はなぜ発生するのでしょうか?
例えば、次のようなある導体があるとします。
導体の中には、プラスの電荷をもつ陽イオンと、自由に動き回ることができるマイナスの電荷をもつ自由電子が存在しています。
この導体に電池をつなぐと導体には電場ができるので、マイナスの電荷をもつ自由電子は電場から力を受けて、電池のプラス側の方向に向かって加速(移動)します。
電荷に力を及ぼす空間を電場(または電界)といいます。
このとき、導体中には陽イオンがあるので、電池のプラス側に向かって移動している自由電子は、
陽イオンに衝突 …
電池のプラス側に向かって加速…
陽イオンに衝突 …
電池のプラス側に向かって加速…
と、衝突と加速を繰り返しながら移動していきます。
すると、自由電子と衝突した陽イオンの熱運動が激しくなるので、導体の温度が上昇し、導体から熱が発生します。
この熱がジュール熱です。
つまり、ジュール熱は、電場から力を受けて加速した自由電子が陽イオンと衝突し、陽イオンの熱運動が激しくなることによって発生するということです。
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ジュールの法則
導体に流れる電流を $I$[$\mathrm{A}$]、導体の抵抗を $R$[$\Omega$]、導体に電流が流れる時間を $t$[$\mathrm{s}$]とすると、
導体から発生するジュール熱 $Q$[$\mathrm{J}$]は、
$Q=I^2Rt$ [$\mathrm{J}$] …①
と表わされ、
ジュール熱は「電流の2乗」と「抵抗」の積に比例
します。これをジュールの法則といいます。
ジュール熱の単位は「$\mathrm{J}$」で、ジュールと読みます。
なお、ジュールの法則の式(①式)は、オームの法則を使うと、
$V=IR$(オームの法則)より、
$Q=I^2Rt=IR\cdot It=VIt$
$\therefore Q=VIt$ [$\mathrm{J}$]
$I=\dfrac{V}{R}$(オームの法則)より、
$Q=I^2Rt=\left(\dfrac{V}{R}\right)^2\cdot Rt=\dfrac{V^2}{R^2} Rt$ $=\dfrac{V^2}{R}t$
$\therefore Q=\dfrac{V^2}{R} t$ [$\mathrm{J}$]
とも表わすことができるので、
$Q=I^2Rt=VIt=\dfrac{V^2}{R} t$ [$\mathrm{J}$] …②
となります。
②式よりジュール熱は、「電流と抵抗と時間」または「電圧と電流と時間」または「電圧と抵抗と時間」のいずれかが分かれば求められるので、ジュール熱の計算をするときは、場合に応じて②式の3つの式を使い分けましょう。
ジュール熱はこんなところで利用されています
通常、電気回路から熱が発生するのはよろしくありませんが(というか、できるだけ熱は発生させたくない)、
モノによっては、電気エネルギーを熱エネルギーに変えてその熱を利用したい場合もあります。
例えば、電気ポットはお湯を沸かすのに熱が必要なので、その熱にジュール熱を利用しています。
電気ポットの他には、トースター、炊飯器、電気ストーブ、ドライヤーなどもジュール熱を利用しています。
このようにジュール熱は、熱を必要とする家電製品など色々なところで利用されています。
- 導体に電流が流れることによって発生する熱をジュール熱という
- ジュール熱は「電流の2乗」と「抵抗」の積に比例する(ジュールの法則)
- ジュールの法則(式):$Q=I^2Rt=VIt=\dfrac{V^2}{R} t$ [$\mathrm{J}$]
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電場(電界)中の電子が受ける力や運動については、こちらの電界中の電子の運動のページを参考にしてみてください。
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