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合成静電容量の求め方(計算方法)
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合成静電容量の計算は直流回路、交流回路の計算をするときの基本になります。
合成静電容量の計算は、コンデンサの数が多くなると複雑そうに思えてしまいますが、基本的には、コンデンサが2個の場合の直列接続または並列接続の合成静電容量の求め方さえ分かっていれば、ほとんどの回路の合成静電容量を求めることができます。
回路が複雑になると計算は多少大変になることもありますが、求め方(考え方)はけっこう単純だったりします。
それでは、合成静電容量を求めるときの基本になる「合成静電容量の公式」からいってみましょう!
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合成静電容量の公式
合成静電容量の計算をするためには、まず初めに合成静電容量の公式をおぼえておかなければなりません。
合成静電容量の公式には、コンデンサが直列接続のときの合成静電容量を求める公式と、コンデンサが並列接続のときの合成静電容量を求める公式があります。
コンデンサが直列接続のときの合成静電容量の公式
次の図のように、コンデンサが $n$ 個直列接続されている回路があるとします。
この回路の合成静電容量 $C_0$[$ \mathrm{F} $]を求める公式は、次のようになります。
$\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{1}{C_1} + \dfrac{1}{C_2} + \dfrac{1}{C_3} + \cdots + \dfrac{1}{C_n}$
この式は、ただ足しているように見えますが、何か違いますよね?
静電容量の値をひっくり返したもの(逆数)を足しています。
コンデンサが直列に接続されているときの合成静電容量は、このようにそれぞれのコンデンサの静電容量の逆数を足して求めます。
ここでちょっと注意ですが、直列接続されたコンデンサの合成静電容量を求めるときに和分の積がよく使われます。和分の積は、直列接続されたコンデンサが2つのときに使える公式で、コンデンサが3つ以上のときは使えません。つまり、
ということになります。間違っておぼえてしまっている人が多いので注意しましょう!
ちなみに、和分の積は、
直列接続の合成静電容量の公式: $\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{1}{C_1} + \dfrac{1}{C_2} + \dfrac{1}{C_3} + \cdots + \dfrac{1}{C_n}$
を、コンデンサ2個だけで考えたときの式そのまんまなんです。コンデンサ2個だけだと、
$\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{1}{C_1} + \dfrac{1}{C_2}$ 、 $\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{C_1 + C_2}{C_1 \times C_2}$
分母と分子をひっくり返して、 $\therefore C_0 = \dfrac{C_1 \times C_2}{C_1 + C_2}$
ねっ? 和分の積になっていますよね。
それから、もう一つ気を付けてほしいのは、直列接続の公式を使うときに右辺だけを計算して合成静電容量だ!としないようにしましょう。
公式の左辺も逆数になっているので、右辺を計算した後にひっくり返さなければなりません。
つまり、直列接続の合成静電容量の公式を $C_0 = \cdots$ で書くならば、
$C_0 = \dfrac{1}{\dfrac{1}{C_1} + \dfrac{1}{C_2} + \dfrac{1}{C_3} + \cdots + \dfrac{1}{C_n}}$ [$ \mathrm{F} $]
となります。
静電容量の単位は「$\mathrm{F}$」で、ファラドと読みます。
コンデンサが並列接続のときの合成静電容量の公式
次は並列接続です。
次の図のように、コンデンサが $n$ 個並列接続されている回路があるとします。
この回路の合成静電容量 $C_0$[$ \mathrm{F} $]を求める公式は、次のようになります。
$C_0 = C_1 + C_2 + C_3 + \cdots + C_n$ [$ \mathrm{F} $]
並列接続の場合は、並んでいるコンデンサの静電容量をただ足していくだけです。
また、この式をみると分かるように、並列接続の場合は静電容量の値が大きくなればなるほど、コンデンサの数が増えれば増えるほど合成静電容量の大きさも大きくなります。
並列接続の合成静電容量は、ただ足していくだけなので簡単ですね!
ここまでで、直列接続と並列接続の合成静電容量を求める公式が分かったと思うので、次は公式を使って色々な回路の合成静電容量を計算してみます?
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コンデンサ1個の場合の合成静電容量
まずはコンデンサ1個の場合です。
って、1個だと合成しようがないですね…
ま〜、とりあえず。
コンデンサ1個直列接続の場合
コンデンサが1個だけなので、回路は次のようになります。
直列接続の合成静電容量の公式にあてはめてみます。
$\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{1}{C_1}$
両辺の分母と分子をひっくり返します。
$C_0 = C_1$ [$ \mathrm{F} $]
で、でました!
コンデンサ1個並列接続の場合
コンデンサが1個だけなので、回路は次のようになります。
並列接続の合成静電容量の公式にあてはめてみます。
$C_0 = C_1$ [$ \mathrm{F} $]
で、で、でちゃいました!
コンデンサ1個の場合は、直列接続も並列接続も同じになります。というより、コンデンサ1個の場合を直列接続とか並列接続って言うのも変なんですけどね。(ふつうは言いません。)
元の回路が同じなので、当然、求めたものも同じになります。
コンデンサ2個の場合の合成静電容量
コンデンサが2個の場合です。
コンデンサが2個の場合の計算が合成静電容量を求めていく一番の基礎になるので、ここでつまづかないようにしましょう。
これさえおぼえておけば、ほとんどの合成静電容量の問題は解けます。
コンデンサ2個直列接続の場合
コンデンサ2個が直列接続なので、次のような回路になります。
直列接続の合成静電容量の公式にあてはめてみます。静電容量の逆数を足していけばよかったですね。
$\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{1}{C_1} + \dfrac{1}{C_2}$
あとはこれを計算して、$C_0 = \cdots$ という式にします。
$\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{C_1 + C_2}{C_1 \times C_2}$ 、ひっくり返して、
$\therefore C_0 = \dfrac{C_1 C_2}{C_1 + C_2}$ [$ \mathrm{F} $]
ちゃんと和分の積になりました。
コンデンサ2個並列接続の場合
コンデンサ2個が並列接続なので、次のような回路になります。
並列接続の合成静電容量の公式にあてはめてみます。
$C_0 = C_1 + C_2$ [$ \mathrm{F} $]
公式からそのままで導かれましたね。
並列接続は簡単です。
コンデンサ3個の場合の合成静電容量
コンデンサが3個の場合です。
このあたりから計算がちょっと大変になってきますが、計算がちょっと大変(めんどくさい)になるだけで、考え方は難しくないですよ。
コンデンサ3個直列接続の場合
コンデンサ3個が直列接続なので、次のような回路になります。
直列接続の合成静電容量の公式にあてはめてみます。
$\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{1}{C_1} + \dfrac{1}{C_2} + \dfrac{1}{C_3}$
あら、ちょっとめんどくさそうな感じがします。計算してみましょう。
$\dfrac{1}{C_0} = \dfrac{C_2 C_3 + C_1 C_3 + C_1 C_2}{C_1 \times C_2 \times C_3}$ 、ひっくり返して、
$\therefore C_0 = \dfrac{C_1 C_2 C_3}{C_1 C_2 + C_2 C_3 + C_1 C_3}$ [$ \mathrm{F} $] …①
あ、そんなにめんどくさいことはありませんでした。
ここで①式を見てほしいのですが、直列接続の合成静電容量の公式のところで「コンデンサが3つ以上直列接続されているときには和分の積は使えません。」と書きましたが、①式をみると、やっぱり和分の積にはなっていないですよね!
コンデンサ3個直列接続の場合の別解
コンデンサ3個が直列接続のときの回路は、和分の積だけを使って解くこともできます。
この回路をよ〜く見てみると、これはコンデンサ2個が直列に接続された回路に、さらにコンデンサ1個が直列に接続された回路に見えてきます。
なので、$C_1$ と $C_2$ のコンデンサを和分の積で合成してしまえば、2個のコンデンサを1個のコンデンサにすることができますね。
あとはコンデンサ2個の直列接続なので、これも和分の積して合成します。
$C_0 = \dfrac{\dfrac{C_1 C_2}{C_1 + C_2} \times C_3}{\dfrac{C_1 C_2}{C_1 + C_2} + C_3}$ $= \dfrac{\dfrac{C_1 C_2 C_3}{C_1 + C_2}}{\dfrac{C_1 C_2 + C_3 \left( C_1 + C_2 \right)}{C_1 + C_2}}$ $= \dfrac{C_1 C_2 C_3}{C_1 C_2 + C_3 C_1 + C_3 C_2}$
$\therefore C_0 = \dfrac{C_1 C_2 C_3}{C_1 C_2 + C_2 C_3 + C_1 C_3}$ [$ \mathrm{F} $] …②
①と②は同じ結果になりました。
このように、和分の積だけを使っても合成静電容量を求めることができます。
コンデンサ3個並列接続の場合
コンデンサ3個が並列接続なので、次のような回路になります。
並列接続の合成静電容量の公式にあてはめてみます。
$C_0 = C_1 + C_2 + C_3$ [$ \mathrm{F} $]
並列接続の場合は公式そのまんまなので、何個になっても簡単ですね。
コンデンサ2個並列接続とそれに直列接続1個の場合
コンデンサ2個が並列接続で、その並列接続されたコンデンサに、さらに直列にコンデンサを1個接続するので回路は次のようになります。
この回路の場合、ここまでで計算してきたように公式にそのままあてはめることはできませんね。
合成静電容量を求めるときの考え方の基本は、とにかく回路を簡単にしていくことです。(回路を簡単にしていくという意味は、コンデンサの数を減らしていくということです。)
では、この回路をどうやって簡単にしていけばいいでしょうか?
上の回路図をじ〜っと見てみましょう。
すると、おやっ? っと、たぶん気付きます。
回路の左側はコンデンサ2個の並列接続になっていますよね?
ということは、この2個並列接続されたコンデンサを合成してしまえば、2個のコンデンサを1個のコンデンサにすることができます。
$C_1$ と $C_2$ の2個のコンデンサの並列接続なのでただ足すだけで、えぃっ!と求めることができますね。すると、次のようになります。
これで、並列接続されている2個のコンデンサ $C_1$ と $C_2$ が1個になって、2個直列接続の回路になりました。
あとはコンデンサ2個の直列接続の回路なので、残りのコンデンサ2個を和分の積で合成すればいいですね。
$C_0 = \dfrac{\left( C_1 + C_2 \right) \times C_3}{\left( C_1 + C_2 \right) + C_3}$
$\therefore C_0 = \dfrac{C_1 C_3 + C_2 C_3}{C_1 + C_2 + C_3}$ [$ \mathrm{F} $]
これで合成静電容量が求められました。
合成静電容量を求めるときは、とにかく回路を簡単にしていくというのが基本で、並列2個を1個に、直列は1個にまとめて・・・という繰り返しで求めていきます。
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合成静電容量を求めるときと合成抵抗を求めるときでは求め方(和分の積か?足すだけか?)が直列接続と並列接続で逆になります。合成抵抗の求め方については、合成抵抗の求め方(計算方法)のページを参考にしてみてください。
また、コンデンサの静電容量と電荷についてはこちらのコンデンサの静電容量と電荷の計算の基本(直列接続と並列接続)のページを参考にしてみてください。
回路の直列接続と並列接続については、こちらの直列接続と並列接続のページを参考にしてみてください。
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