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短絡されている抵抗がある場合の合成抵抗の求め方
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次のように、3つの抵抗( $R_1$ 、$R_2$ 、$R_3$ )でできている回路があるとして、
この回路の合成抵抗を求めてみましょう。
合成抵抗を求めるときは、基本的に、
- 2つ並列接続の抵抗は和分の積で1つにする
- 直列接続の抵抗はただ足して1つにする
としていくと求められるのですが…
この回路をよく見ると、
抵抗 $R_3$ が短絡されてるし!
どうやって合成抵抗を求めるの?
みたいな回路になっています。(みたいなというか、そういう回路)
こんなときは、
短絡されている抵抗を無視する
または、
抵抗を短絡している線(電線)を $0\,\Omega$ の抵抗と考える
とすると、合成抵抗を求めることができます。
このページでは、「短絡されている抵抗を無視する方法」と「抵抗を短絡している電線を $0\,\Omega$ の抵抗と考える方法」の2つの方法について解説していますので、短絡されている抵抗がある回路の合成抵抗を求めるときの参考にしてみてください。
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短絡されている抵抗を無視して合成抵抗を求める方法
次の回路の合成抵抗を、「短絡されている抵抗を無視する方法」で求めてみます。
この回路の右側を見てみると、「抵抗 $R_3$ 」と「電線(線)」が並列に接続されているので、この回路は、電線で抵抗 $R_3$ が短絡されている回路になっています。
抵抗が短絡されているときは、短絡されている抵抗は無視して考えることができるので、
抵抗 $R_3$ を取り除くと、回路は次のようになります。
すると、抵抗 $R_1$ と $R_2$ が並列接続されている回路になるので、あとは抵抗 $R_1$ と $R_2$ の合成抵抗を求めるだけです。
和分の積を使って抵抗 $R_1$ と $R_2$ の合成抵抗 $R$ を求めると、
$\therefore R=\dfrac{R_1R_2}{R_1+R_2}$ [$\Omega$]
となり、これが回路全体の合成抵抗になります。
以上のように、短絡されている抵抗がある場合には、短絡されている抵抗を無視して計算する(取り除いて計算する)と合成抵抗を求めることができます。
短絡されている抵抗を無視できるのはなぜか?
なぜ、短絡されている抵抗を無視できるのでしょうか?
この理由は、回路に流れる電流について考えてみると分かります。
次のように回路に直流電源をつなぎ、回路全体に流れる電流を $I$ とします。
このとき、電流 $I$ は、回路の左側では抵抗 $R_1$ と $R_2$ に分流しますが、回路の右側ではどう流れるでしょうか?
ここで、回路の右側の電線の抵抗の大きさは無視できるくらい小さいものとして(電線の抵抗の大きさを $0\,\Omega$ と考える)、抵抗 $R_3$ に流れる電流 $I_3$ を計算してみると、
$I_3=I\times\dfrac{\text{電線の抵抗}}{R_3+\text{電線の抵抗}}$ $=I\times\dfrac{0}{R_3+0}$ $=\dfrac{0}{R_3}$ $=0$
$\therefore I_3=0$ [$\mathrm{A}$]
となります。
また、電線に流れる電流を計算してみると、
電線に流れる電流 $=I\times\dfrac{R_3}{R_3+\text{電線の抵抗}}$ $=I\times\dfrac{R_3}{R_3+0}$ $=I\times\dfrac{R_3}{R_3}$ $=I$
$\therefore$ 電線に流れる電流 $=I$ [$\mathrm{A}$]
となります。
つまり、抵抗の大きさが $0\,\Omega$ の電線で抵抗を短絡すると、抵抗には電流が流れず、電流はすべて電線の方を通ることになります。
なので、短絡されていて電流が流れない抵抗は、あってもなくても回路的に同じなので、無視して考えることができるんです。
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短絡している電線を0Ωの抵抗と考えて合成抵抗を求める方法
次の回路の合成抵抗を、「短絡している電線を $0\,\Omega$ の抵抗と考える方法」で求めてみます。
電気回路の計算をするときには、ふつう、電線の抵抗の大きさは $0\,\Omega$ と考えて計算するので、短絡している電線部分を $0\,\Omega$ の抵抗と考えます。
すると、回路は次のようになります。
あとは、この回路の合成抵抗を計算するだけです。
回路の左側の2つの合成抵抗を $R_4$ とすると、$R_4$ は和分の積を使って、
$\therefore R_4=\dfrac{R_1R_2}{R_1+R_2}$ [$\Omega$] …①
となります。
また、回路の右側の2つの合成抵抗を $R_5$ とすると、$R_5$ は、
$R_5=\dfrac{R_3\times\text{電線の抵抗}}{R_3+\text{電線の抵抗}} =\dfrac{R_3\times0}{R_3+0}$ $=\dfrac{0}{R_3}$ $=0$
$\therefore R_5=0$ [$\Omega$] …②
となります。
したがって、回路全体の合成抵抗 $R$ は、①と②を足して、
$R=R_4+R_5=\dfrac{R_1R_2}{R_1+R_2} +0$ $=\dfrac{R_1R_2}{R_1+R_2}$
$\therefore R=\dfrac{R_1R_2}{R_1+R_2}$ [$\Omega$]
となります。
以上のように、短絡されている抵抗がある場合には、短絡している電線の抵抗を $0\,\Omega$ とすると合成抵抗を求めることができます。
短絡されている抵抗がある場合の合成抵抗は、次のようにすると求めることができる。
- 短絡されている抵抗を無視して合成抵抗を計算する
または、
- 短絡している電線の抵抗を $0\,\Omega$ として合成抵抗を計算する
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合成抵抗の求め方の基本については、こちらの合成抵抗の求め方のページを参考にしてみてください。
短絡って?という方は、こちらの短絡(ショート)のページを参考にしてみてください。
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