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直流回路の計算(分圧と分流)
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直流回路の計算でおぼえておかなければならない分圧と分流について解説します。
またよく分からない言葉がでてきました。分圧…、分流…。
よく分からない言葉は、とりあえず想像して考えてみましょう。
分圧の「圧」はこれまでさんざん出てきた、電圧の圧なんじゃないかなぁー、と思ったりしますよね?(たぶん)
すると、分圧って、電圧を分けるとか、電圧が分けられるとか、そんなことを意味する言葉なんじゃないかな。と想像できます。
分流も同じような感じで想像してみると…。
分流の「流」はこれまで出てきた、電流の流なんじゃないかなぁー。と思ったりしますよね?(たぶん)
すると、分流って、電流を分けるとか、電流が分けられるとか、そんなことを意味する言葉なんじゃないかな。と想像できます。
実際のところ、分圧と分流はどんなものなのでしょうか?
これは、続きを読んでみると分かるので、もうちょっと読み進めてみましょう。
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分圧
次のように、電源に抵抗が2つ直列接続された回路を考えます。
ここで、電源の電圧を $V$[$\mathrm{V}$]、抵抗をそれぞれ $R_1$[$\Omega$]、$R_2$[$\Omega$]、抵抗 $R_1$ にかかる電圧を $V_1$[$\mathrm{V}$]、抵抗 $R_2$ にかかる電圧を $V_2$[$\mathrm{V}$]とします。
すると、キルヒホッフの電圧則(キルヒホッフの第二法則)より、抵抗 $R_1$ にかかる電圧 $V_1$[$\mathrm{V}$]と抵抗 $R_2$ にかかる電圧 $V_2$[$\mathrm{V}$]を足したものは、電源電圧 $V$[$\mathrm{V}$]になるのでした。つまり、式で書くと次のようになります。(キルヒホッフの電圧則そのままの話ですが…。)
$\therefore V=V_1+V_2$
キルヒホッフの電圧則(キルヒホッフの第二法則)について詳しくは、こちらのキルヒホッフの法則のページを参考にしてみてください。
この式をじ〜っとみると、電源電圧 $V$ は $V_1$ と $V_2$ を足したものに等しいので、つまり、電源電圧 $\boldsymbol{V}$ が $\boldsymbol{V_1}$ と $\boldsymbol{V_2}$ に分けられていると考えることができます。これが分圧です。
それでは次に、電圧 $\boldsymbol{V_1}$[$\boldsymbol{\mathrm{V}}$]と $\boldsymbol{V_2}$[$\boldsymbol{\mathrm{V}}$]の大きさを求めたいときはどうしたらいいでしょうか?
これは分圧の公式を使うと求めることができて、分圧の公式より、それぞれの電圧は次のように求められます。
$\therefore V_1=V\times\dfrac{R_1}{R_1+R_2}$ [$\mathrm{V}$] (←分圧の公式)
$\therefore V_2=V\times\dfrac{R_2}{R_1+R_2}$ [$\mathrm{V}$] (←分圧の公式)
分圧の公式(上の2つの式)を言葉で書くと、
求めたい分圧(電圧)= 電源の電圧 $\times\dfrac{\text{分圧を求めたいところの抵抗}}{\text{直列に接続されている抵抗の合計}}$
こんな感じになります。
式をみてみると、電源の電圧を抵抗の割合で分けていることが分かると思います。
分圧の公式は、第二種電気工事士学科試験の計算問題を解くときにけっこう使える公式ですので、上の2つの分圧の公式はおぼえておくようにしましょう。分圧の公式をおぼえておくと、電圧の計算が簡単になる場合もありますよ!
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分流
次は、分流について解説します。
次のように、電源に抵抗が2つ並列接続された回路を考えます。
ここで、回路全体に流れる電流を $I$[$\mathrm{A}$]、抵抗をそれぞれ $R_1$[$\Omega$]、$R_2$[$\Omega$]、抵抗 $R_1$ に流れる電流を $I_1$[$\mathrm{A}$]、抵抗 $R_2$ に流れる電流を $I_2$[$\mathrm{A}$]とします。
すると、キルヒホッフの電流則(キルヒホッフの第一法則)より、抵抗 $R_1$ に流れる電流 $I_1$[$\mathrm{A}$]と抵抗 $R_2$ に流れる電流 $I_2$[$\mathrm{A}$]を足したものは、回路全体に流れる電流 $I$[$\mathrm{A}$]になるのでした。つまり、式で書くと次のようになります。(キルヒホッフの電流則そのままの話ですが…。)
$\therefore I=I_1+I_2$
キルヒホッフの電流則(キルヒホッフの第一法則)について詳しくは、こちらのキルヒホッフの法則のページを参考にしてみてください。
分圧のときと同じように、この式をじ〜っとみると、回路全体に流れる電流 $I$ は $I_1$ と $I_2$ を足したものに等しいので、つまり、回路全体に流れる電流 $\boldsymbol{I}$ が $\boldsymbol{I_1}$ と $\boldsymbol{I_2}$ に分けられていると考えることができます。これが分流です。
それでは次に、電流 $\boldsymbol{I_1}$[$\boldsymbol{\mathrm{A}}$]と $\boldsymbol{I_2}$[$\boldsymbol{\mathrm{A}}$]の大きさを求めたいときはどうしたらいいでしょうか?
これは分流の公式を使うと求めることができて、分流の公式より、それぞれの電流は次のように求められます。
$\therefore I_1=I\times\dfrac{R_2}{R_1+R_2}$ [$\mathrm{A}$] (←分流の公式)
$\therefore I_2=I\times\dfrac{R_1}{R_1+R_2}$ [$\mathrm{A}$] (←分流の公式)
分流の公式(上の2つの式)を言葉で書くと、
求めたい分流(電流)= 回路全体に流れる電流 $\times\dfrac{\text{分流を求めたいところではない抵抗}}{\text{並列に接続されている抵抗の合計}}$
こんな感じになります。
式をみてみると、回路全体に流れる電流を抵抗の割合で分けていることが分かると思います。
分圧の公式と分流の公式の分子の抵抗
分圧の公式と分流の公式の分子の抵抗は、「分圧の公式」と「分流の公式」で異なるので注意しましょう。
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分圧の法則を使った直流回路の計算方法の例は分圧の法則による直流回路の計算のページ、分流の法則を使った直流回路の計算方法の例は分流の法則による直流回路の計算のページを参考にしてみてください。
分圧と分流を応用したものに倍率器と分流器があります。倍率器はこちらの倍率器のページ、分流器はこちらの分流器のページを参考にしてみてください。
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