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分流器
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電流計の測定範囲を拡大するために、電流計に並列に接続する抵抗を分流器といいます。
例えば、$10\,\mathrm{mA}$ まで測定できる電流計があるとして、これをそのまま使うと $10\,\mathrm{mA}$ を超える電流は測定できません。
ですが、この電流計に並列に分流器(抵抗)を接続すると、回路に流れる電流は電流計と分流器に分流するので、
回路に流れる電流が $10\,\mathrm{mA}$ を超えても電流を測定できるようになります。
例えば、電流計に $10\,\mathrm{mA}$ の電流が流れるときに分流器には $90\,\mathrm{mA}$ の電流が流れるように分流器の抵抗値を決めれば、回路には $100\,\mathrm{mA}$ までの電流を流すことができるようになるので、
$10\,\mathrm{mA}$ までしか測定できない電流計を使って $100\,\mathrm{mA}$ まで測定できるようになります。(電流計の測定範囲が10倍に拡大される!)
このように、電流計の測定範囲を拡大するために使われるのが分流器です。
分流については、こちらの直流回路の計算(分圧と分流)のページを参考にしてみてください。
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分流器の倍率
次のように、内部抵抗 $r_a$[$\Omega$]の電流計に並列に抵抗 $R_s$[$\Omega$]の分流器が接続された回路があるとします。
この回路において、回路に流れる電流を $I$[$\mathrm{A}$]、電流計に流れる電流を $I_a$[$\mathrm{A}$]として、$I$ と $I_a$ の比の値 $m=\dfrac{I}{I_a}$ を求めてみます。
電流計に流れる電流 $I_a$ は、分流の公式より次のように求められます。
$I_a=I\times\dfrac{R_s}{r_a+R_s}$ …①
この①式から $m\,\left( =\dfrac{I}{I_a}\right)$ を求めると、
$\dfrac{I_a}{I} =\dfrac{R_s}{r_a+R_s}$
$\therefore\, m=\dfrac{I}{I_a} =\dfrac{r_a+R_s}{R_s}$ …②
となります。
この②式の $m$ の値は、$I$ を $I_a$ で割ったものなので、「回路に流れる電流 $I$ 」が「電流計に流れる電流 $I_a$ 」の何倍になるかを表わしています。
つまり、②式から求められる値 $m$ は、分流器を接続することによって電流計の測定範囲が何倍になるか( $m$ 倍になる)を表わす値になり、この値 $m$ を分流器の倍率といいます。
また、②式の分流器の倍率 $m$ は「電流計の内部抵抗 $r_a$ 」と「分流器の抵抗 $R_s$ 」で表わされているので、電流計の測定範囲を拡大するときの倍率は、分流器の抵抗 $R_s$ の値を変えることで調整できることになります。(電流計の内部抵抗 $r_a$ は、電流計によって決まる値です。)
電流計の測定範囲をm倍に拡大するときの分流器の抵抗値の求め方
電流計の測定範囲を $m$ 倍に拡大するときの分流器の抵抗値 $R_s$ は、さきほどの②式を使うと求められます。
$m=\dfrac{I}{I_a} =\dfrac{r_a+R_s}{R_s}$ …② (この式を使う)
②式を $R_s=\cdots$ の形に変形すると、
$m\, R_s=r_a+R_s$
$m\, R_s-R_s=r_a$
$R_s\left( m-1\right) =r_a$
$\therefore\, R_s=\dfrac{r_a}{m-1}$ …③
となります。
なので、③式に倍率 $m$ と電流計の内部抵抗 $r_a$ の値を代入すると、電流計の測定範囲を $m$ 倍に拡大するときの分流器の抵抗値 $R_s$ が求められます。
電流計の測定範囲を拡大するときの分流器の抵抗値の計算例
内部抵抗 $r_a$ が $3.6\,\Omega$ の電流計の測定範囲を $10$ 倍にするとき、分流器の抵抗値 $R_s$ は?
$R_s=\dfrac{r_a}{m-1} =\dfrac{3.6}{10-1} =\dfrac{3.6}{9}$ $=0.4$
$\therefore$ 分流器の抵抗値 $R_s=0.4\,\Omega$
- 電流計の測定範囲を拡大するために、電流計に並列に接続する抵抗を分流器という
- 分流器の倍率 $m$: $m=\dfrac{I}{I_a} =\dfrac{r_a+R_s}{R_s}$
- 電流計の測定範囲を $m$ 倍にするときの分流器の抵抗値 $R_s$: $R_s=\dfrac{r_a}{m-1}$
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電圧計の測定範囲を拡大するときは、倍率器を使います。倍率器については、こちらの倍率器のページを参考にしてみてください。
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