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倍率器
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電圧計の測定範囲を拡大するために、電圧計に直列に接続する抵抗を倍率器といいます。
例えば、$1\,\mathrm{V}$ まで測定できる電圧計があるとして、これをそのまま使うと $1\,\mathrm{V}$ を超える電圧は測定できません。
ですが、この電圧計に直列に倍率器(抵抗)を接続すると、電圧 $V$ は電圧計と倍率器に分圧するので、
電圧 $V$ が $1\,\mathrm{V}$ を超えても電圧を測定できるようになります。
例えば、電圧計に $1\,\mathrm{V}$ の電圧がかかるときに倍率器には $99\,\mathrm{V}$ の電圧がかかるように倍率器の抵抗値を決めれば、$100\,\mathrm{V}$ までの電圧をかけることができるようになるので、
$1\,\mathrm{V}$ までしか測定できない電圧計を使って $100\,\mathrm{V}$ まで測定できるようになります。(電圧計の測定範囲が100倍に拡大される!)
このように、電圧計の測定範囲を拡大するために使われるのが倍率器です。
分圧については、こちらの直流回路の計算(分圧と分流)のページを参考にしてみてください。
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倍率器の倍率
次のように、内部抵抗 $r_v$[$\Omega$]の電圧計に直列に抵抗 $R_m$[$\Omega$]の倍率器が接続された回路があるとします。
この回路において、電圧 $V$[$\mathrm{V}$]と電圧計にかかる電圧 $V_v$[$\mathrm{V}$]の比の値 $m=\dfrac{V}{V_v}$ を求めてみます。
電圧計にかかる電圧 $V_v$ は、分圧の公式より次のように求められます。
$V_v=V\times\dfrac{r_v}{r_v+R_m}$ …①
この①式から $m\left( =\dfrac{V}{V_v}\right)$ を求めると、
$\dfrac{V_v}{V} =\dfrac{r_v}{r_v+R_m}$
$\therefore\, m=\dfrac{V}{V_v} =\dfrac{r_v+R_m}{r_v}$ …②
となります。
この②式の $m$ の値は、$V$ を $V_v$ で割ったものなので、「電圧 $V$ 」が「電圧計にかかる電圧 $V_v$ 」の何倍になるかを表わしています。
つまり、②式から求められる値 $m$ は、倍率器を接続することによって電圧計の測定範囲が何倍になるか( $m$ 倍になる)を表わす値になり、この値 $m$ を倍率器の倍率といいます。
また、②式の倍率器の倍率 $m$ は「電圧計の内部抵抗 $r_v$ 」と「倍率器の抵抗 $R_m$ 」で表わされているので、電圧計の測定範囲を拡大するときの倍率は、倍率器の抵抗 $R_m$ の値を変えることで調整できることになります。(電圧計の内部抵抗 $r_v$ は、電圧計によって決まる値です。)
電圧計の測定範囲をm倍に拡大するときの倍率器の抵抗値の求め方
電圧計の測定範囲を $m$ 倍に拡大するときの倍率器の抵抗値 $R_m$ は、さきほどの②式を使うと求められます。
$m=\dfrac{V}{V_v} =\dfrac{r_v+R_m}{r_v}$ …② (この式を使う)
②式を $R_m=\cdots$ の形に変形すると、
$m\, r_v=r_v+R_m$
$R_m=m\, r_v-r_v$
$\therefore\, R_m=\left( m-1\right) r_v$ …③
となります。
なので、③式に倍率 $m$ と電圧計の内部抵抗 $r_v$ の値を代入すると、電圧計の測定範囲を $m$ 倍に拡大するときの倍率器の抵抗値 $R_m$ が求められます。
電圧計の測定範囲を拡大するときの倍率器の抵抗値の計算例
内部抵抗 $r_v$ が $3\,\mathrm{k}\Omega$ の電圧計の測定範囲を $100$ 倍にするとき、倍率器の抵抗値 $R_m$ は?
$R_m=\left( m-1\right) r_v$ $=\left( 100-1\right)\times 3000$ $=99\times 3000=297000$
$\therefore$ 倍率器の抵抗値 $R_m=297\,\mathrm{k}\Omega$
- 電圧計の測定範囲を拡大するために、電圧計に直列に接続する抵抗を倍率器という
- 倍率器の倍率 $m$: $m=\dfrac{V}{V_v} =\dfrac{r_v+R_m}{r_v}$
- 電圧計の測定範囲を $m$ 倍にするときの倍率器の抵抗値 $R_m$: $R_m=\left( m-1\right) r_v$
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電流計の測定範囲を拡大するときは、分流器を使います。分流器については、こちらの分流器のページを参考にしてみてください。
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倍率器 関連ページ
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