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金属管工事
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金属管工事は、金属製の管(金属管)を使う工事で、その金属製の管の中に電線を通して配線する工事です。
金属管や合成樹脂管(合成樹脂製の管)など電線を通して使う管をまとめて電線管と言い、電線管に電線を通すことを通線と言います。
金属管工事で使う金属管の種類
金属管工事で使う金属管には、ねじなし電線管、薄鋼電線管、厚鋼電線管の3種類があります。
ねじなし電線管(E管)
ねじなし電線管は、管の肉厚が1.2mm以上の金属製の管で、ねじが切られていない(ねじを切らないで使う)電線管です。「E管」とも呼ばれています。
薄鋼電線管(C管)
薄鋼電線管は、管の肉厚が1.6mm以上の金属製の管で、ねじが切られている(ねじを切って使う)電線管です。「C管」とも呼ばれています。
厚鋼電線管(G管)
厚鋼電線管は、管の肉厚が2.3mm以上の金属製の管で、ねじが切られている(ねじを切って使う)電線管です。「G管」とも呼ばれています。
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金属管工事で使う電線
金属管工事で使う電線は屋外用ビニル絶縁電線(OW)以外の絶縁電線になります。600Vビニル絶縁電線(IV)がよく使われます。
また、電線はより線または直径3.2mm以下の単線を使います。(ただし、金属管が短い場合にはこの限りではありません。)
ちなみに、「より線」とは心線が複数本の素線でできた電線で、「単線」とは上の写真のように心線が1本の導体でできた電線です。
電線の接続
電線を接続するときには、金属管内で接続してはいけません!アウトレットボックスなどのボックス(箱)の中で接続します。
「電線管内で電線を接続してはダメ」というのは、電線管を使う他の工事の金属可とう電線管工事、合成樹脂管工事でも同じです。
ダメよ〜ダメダメ。
金属管の施工方法
金属管の支持方法(固定方法)と屈曲(どのくらい曲げて良いか?)などの施工方法にも決まりがあり、次のようになります。
金属管の支持方法
金属管の支持点間距離(固定する間隔)は2m以下にすることが望ましい。
金属管を支持(固定)するときはサドルなどを使います。
金属管の屈曲
金属管の屈曲部の内側の半径は管内径の6倍以上にする。
金属管とボックスの電気的な接続
金属管相互、金属管とボックスは堅ろうに接続し、電気的に完全に接続する。
金属管相互、金属管とボックスを電気的に接続するときにはボンド線(絶縁被覆がない裸電線)を使います。
ボンド線ってこんなのです。
金属管相互(金属管と金属管)、金属管とボックスを電気的に完全に接続するのは、漏電などによる感電を防ぐことが目的で、金属管を確実に接地するためです。
木造の屋側電線路での金属管工事は禁止
木造の屋側電線路での金属管工事は禁止です!
これも、ダメよ〜ダメダメです。
以上を図にまとめるとこんな感じ。
ちなみに、図中のカップリングは電線管と電線管を接続する(つなげる)ためのもの、接地金具は金属管に接地用のボンド線を接続するためのものです。
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金属管の接地と接地工事を省略できる条件
金属管の接地
漏電などによる感電を防止するため金属管を接地します。
接地工事にはA種接地工事、B種接地工事、C種接地工事、D種接地工事がありますが、使用電圧が300V以下の場合にはD種接地工事、300Vを超える場合にはC種接地工事で金属管を接地します。
ただし、300Vを超える場合でも接触防護措置※を施す場合には、D種接地工事でOKです。
金属管のD種接地工事を省略できる条件
次の場合、金属管のD種接地工事を省略できます。
- 金属管の長さが4m以下で、乾燥した場所に施設する場合
- 対地電圧が150V以下で、長さが8m以下の金属管に簡易接触防護措置※を施す、または乾燥した場所に施設する場合
※金属製のものであって、防護措置を施す管と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。
補足
補足|電線管とボックスの接続例(ねじなし電線管とアウトレットボックス)
ねじなし電線管をアウトレットボックスに取り付けるときには、ねじなし電線管にねじなしボックスコネクタを取り付け、ロックナットを締め付けて電線管をアウトレットボックスに固定します。
電線管をアウトレットボックスに固定したら、電線の被覆を傷つけないように絶縁ブッシングを取り付けます。
ボンド線の片端を輪作りしてアウトレットボックスの4mmのねじ穴にねじ止めし、もう片端をねじなしボックスコネクタの接地用の端子にねじ止めします(このボンド線の接続により、アウトレットボックスとねじなし電線管が電気的に接続されます)。
補足|簡易接触防護措置
金属管の接地工事を省略できる条件のところで簡易接触防護措置という言葉が出てきましたが、「簡易接触防護措置って何?」という方もいると思いますので、ちょっと補足します。
「電気設備の技術基準の解釈」の用語の定義に、「簡易接触防護措置は次のいずれかに適合するように施設することをいう。」とあって次のように書いてあります。
イ.設備を、屋内にあっては床上1.8m以上、屋外にあっては地表上2m以上の高さに、かつ、人が通る場所から容易に触れることのない範囲に施設すること。
ロ.設備に人が接近又は接触しないよう、さく、へい等を設け、又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すこと。
つまり、簡易接触防護措置とは、電気設備(ここの場合は金属管など)に人が簡単に触れられないようにするってことですね。
補足|金属管の種類とサイズ
金属管の種類には、ねじなし電線管、薄鋼電線管、厚鋼電線管の3種類がありますが、それぞれの金属管のサイズはJIS(日本産業規格(旧:日本工業規格))で規格化されています。金属管の種類とサイズ(外径、内径)を参考に書いておきます。
ちなみに、電線管の長さは3種類とも3.66mになります。
ねじなし電線管の呼び方は「E○○」になります。○○には管の外径を表わす数字(管外径に近い奇数値)が入ります。
呼び方 | 外径[mm] | 近似内径[mm] |
---|---|---|
E19 | 19.1 | 16.7 |
E25 | 25.4 | 23.0 |
E31 | 31.8 | 29.0 |
E39 | 38.1 | 35.3 |
E51 | 50.8 | 48.0 |
E63 | 63.5 | 60.3 |
E75 | 76.2 | 72.6 |
薄鋼電線管の呼び方は「C○○」になります。○○には管の外径を表わす数字(管外径に近い奇数値)が入ります。
呼び方 | 外径[mm] | 近似内径[mm] |
---|---|---|
C19 | 19.1 | 15.9 |
C25 | 25.4 | 22.2 |
C31 | 31.8 | 28.6 |
C39 | 38.1 | 34.9 |
C51 | 50.8 | 47.6 |
C63 | 63.5 | 59.5 |
C75 | 76.2 | 72.2 |
厚鋼電線管の呼び方は「G○○」になります。○○には管の内径を表わす数字(管内径に近い偶数値)が入ります。
呼び方 | 外径[mm] | 近似内径[mm] |
---|---|---|
G16 | 21.0 | 16.4 |
G22 | 26.5 | 21.9 |
G28 | 33.3 | 28.3 |
G36 | 41.9 | 36.9 |
G42 | 47.8 | 42.8 |
G54 | 59.6 | 54.0 |
G70 | 75.2 | 69.6 |
G82 | 87.9 | 82.3 |
G92 | 100.7 | 93.7 |
G104 | 113.4 | 106.4 |
ねじなし電線管と薄鋼電線管の「○○」は外径、厚鋼電線管の「○○」は内径なので注意しましょう。
- 使う電線は屋外用ビニル絶縁電線(OW)以外の絶縁電線
- 金属管内で電線を接続してはダメ!
- 金属管の支持点間距離は2m以下が望ましい
- 金属管の屈曲部の内側の半径は管内径の6倍以上にする
- 木造の屋側電線路での金属管工事は禁止!
- 金属管相互、金属管とボックスは電気的に完全に接続する
- 金属管には、使用電圧が300V以下の場合にはD種接地工事、300Vを超える場合にはC種接地工事をする。ただし、300Vを超えても接触防護措置を施す場合にはD種接地工事に緩和される
- 金属管の長さが4m以下で乾燥した場所ではD種接地工事を省略できる
- 対地電圧が150V以下、金属管の長さが8m以下で、簡易接触防護措置を施す、または乾燥した場所ではD種接地工事を省略できる
第二種電気工事士の学科試験では、「木造の屋側電線路での金属管工事(は禁止)」、「接地工事を省略できる条件」について出題されることが多いので、それぞれおぼえておくようにしましょう。
それから、学科試験の配線図問題で屋側電線路の問題が出題されたときには、配線図に書かれている建物が木造か?鉄筋か?確認するようにしましょう。木造だったら屋側電線路で金属管工事はできませんよ!
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このページを読んだら、4択クイズをやってみよう!
金属管工事の4択クイズはこちら ⇒ 第二種電気工事士学科試験の4択クイズ 金属管工事
接地工事についてはこちらの接地工事の種類と接地抵抗値のページ、接触防護措置と簡易接触防護措置についてはこちらの接触防護措置と簡易接触防護措置のページを参考にしてみてください。
このページで使用している写真の一部は、(一財)電気技術者試験センターが作成した第二種電気工事士学科試験の試験問題に掲載されている写真です。また、このページで使用している金属管の写真は、パナソニック(株)のHPに掲載されている写真です。
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