スター結線(Y結線)の線間電圧はなぜ相電圧の√3倍になるのか?

スター結線(Y結線)の線間電圧と相電圧の関係式

スター結線(Y結線)されている三相交流回路の線間電圧と相電圧の関係は、

 

$\text{線間電圧} =\sqrt{3}\times\text{相電圧}$ …@

 

となり、この関係式はスター結線(Y結線)の三相交流回路を考えるときによく使われていて、ほぼ公式みたいなものです。(てか、公式か?)

 

この関係式(@式)は三相交流の問題を解くときなどに使ったことがある人が多いと思いますが、

 

なぜ、線間電圧は相電圧の $\sqrt{3}$ 倍になるの?

 

って、思ったりしますよね? ない?

 

ここでは、スター結線(Y結線)のときに、線間電圧が相電圧の $\sqrt{3}$ 倍になる理由について解説します。

 

スター結線で線間電圧が相電圧の√3倍になる理由

次の図のようなスター結線(Y結線)された三相交流回路について考えます。

 

図1 スター結線(Y結線)の三相交流回路

 

この回路図を見て、あれ?線間電圧と相電圧ってどこの電圧だったっけ?

 

なんて、思っちゃったりしていないですか?

 

線間電圧と相電圧はここですよ!

 

図2 スター結線(Y結線)の線間電圧と相電圧

 

A相、B相、C相の電源の電圧をそれぞれ $\dot{V_a}$、$\dot{V_b}$、$\dot{V_c}$ とすると、$\dot{V_a}$、$\dot{V_b}$、$\dot{V_c}$ それぞれがそのまんま各相の相電圧になって、A相とB相の間にかかる電圧がA相とB相間の線間電圧 $\dot{V_{ab}}$、B相とC相の間にかかる電圧がB相とC相間の線間電圧 $\dot{V_{bc}}$、C相とA相の間にかかる電圧がC相とA相間の線間電圧 $\dot{V_{ca}}$ になります。

 

それで、ここでは線間電圧と相電圧の関係を求めたいので、まず初めに図2の回路図の相電圧 $\dot{V_a}$、$\dot{V_b}$、$\dot{V_c}$ のベクトル図を書いてみると、次のようになります。

 

図3 スター結線(Y結線)の相電圧のベクトル図

 

大きさが同じでA相、B相、C相の位相が $120^\circ$ ずつズレたベクトルになります。(三相電源を対称三相交流電源で考えています。)

 

相電圧のベクトルが書けたので、あとは線間電圧のベクトルが書ければ相電圧と線間電圧の関係が分かりますね。

 

線間電圧は、例えばA相とB相間の線間電圧 $\dot{V_{ab}}$ を考える場合、$\dot{V_{ab}}$ はA相の相電圧 $\dot{V_a}$ とB相の相電圧 $\dot{V_b}$ の電位差になるので、2つの相電圧 $\dot{V_a}$ と $\dot{V_b}$ を引き算すると求められます。

 

直流回路で電位差を求めるときも、ある電圧とある電圧を引き算して電位差を求めますよね? それと同じ考え方です。

 

ただしこの場合は、引き算といっても交流なのでベクトルで引き算しないとダメです。

 

すると線間電圧 $\dot{V_{ab}}$ は、

 

$\dot{V_{ab}} =\dot{V_a} -\dot{V_b}$ …A となります。

 

あとはAのベクトル図を書いてみればいいですね。

 

図3より、ベクトル $\dot{V_a}$、$\dot{V_b}$ だけ書くと次のようになります。

 

図4 A相とB相の相電圧のベクトル図

 

書きたいベクトルは $\dot{V_{ab}} =\dot{V_a} -\dot{V_b}$ …A なので、このベクトルの引き算を分かりやすくするために、A式をちょっと変形すると、

 

$\dot{V_{ab}} =\dot{V_a} +(-\dot{V_b} )$ となります。

 

この式は、ベクトル $\dot{V_a}$ と $-\dot{V_b}$ を足すとベクトル $\dot{V_{ab}}$ になりますよ、という意味ですね。

 

ではまず、図4にベクトル $-\dot{V_b}$ を書き加えてみましょう。 $-\dot{V_b}$ は $\dot{V_b}$ と同じ大きさで反対向きのベクトルなので、図5の赤色のベクトルになります。

 

図5 -Vbのベクトル図

 

あとは、$\dot{V_a}$ と $-\dot{V_b}$ を足せばよく、図6の赤色のベクトルが線間電圧 $\dot{V_{ab}}$ のベクトル図になります。

 

図6 Vabのベクトル図

 

線間電圧 $\dot{V_{bc}}$、$\dot{V_{ca}}$ についても同じように計算すると求められるので、計算は省略してベクトル図を書いてみると次のようになります。

 

図7 スター結線(Y結線)の相電圧と線間電圧のベクトル図

 

なんだか急に難しそうになりましたが、線間電圧 $\dot{V_{ab}}$、$\dot{V_{bc}}$、$\dot{V_{ca}}$ それぞれ分けて考えて、それを一つの図に書いているだけなので、実はそんなに難しくはなかったりします。

 

ムズイっと思った人は一つ一つ分けて考えてみましょう。

 

ここまでで相電圧と線間電圧のベクトル図が書けました。それで、ここでの話は、

 

スター結線の線間電圧はなぜ相電圧の $\sqrt{3}$ 倍になるのか?

 

なのでした。

 

図7のベクトル図で解説していくと図がゴチャゴチャになって分かりにくいので、$\dot{V_a}$ と $\dot{V_{ab}}$ のところだけにして角度も書くと次のようになります。

 

図8 VaとVabのベクトル図

 

ベクトル $\dot{V_a}$ と $-\dot{V_b}$ の大きさは等しく、2つのベクトルのなす角が $60^\circ$ なので、$\dot{V_a}$ と $\dot{V_{ab}}$ のなす角は $60^\circ$ の半分の $30^\circ$ になります。

 

図8を $\dot{V_a}$ と $\dot{V_{ab}}$ だけにして、反時計回りにちょっと回転します。

 

図9 VaとVabのベクトル図

 

図9の右側の図は元々、4辺の長さが等しい平行四辺形からできている図形です。($\because |\dot{V_a} |=|-\dot{V_b} |$、$\dot{V_{ab}} =\dot{V_a} +(-\dot{V_b} )$)

 

図10 VaとVabのベクトル図

 

なので、$\dot{V_{ab}}$ の大きさ(長さ)$|\dot{V_{ab}} |$ は $\dot{V_a}$ の大きさ(長さ)$|\dot{V_a} |$ に $\cos 30^\circ$ をかけて2倍すると求められます。式で書けば次のようになります。

 

$| \dot{V_{ab}} |=|\dot{V_a} |\times\cos 30^\circ\times 2$

 

$\cos 30^\circ =\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ なので、これを代入すると、

 

$| \dot{V_{ab}} |=|\dot{V_a} |\times\dfrac{\sqrt{3}}{2}\times 2=|\dot{V_a} |\times\sqrt{3}$ $=\sqrt{3}\times |\dot{V_a} |$

 

$\therefore | \dot{V_{ab}} |=\sqrt{3}\times |\dot{V_a} |$

 

$| \dot{V_{ab}} |$ は線間電圧の大きさ、$|\dot{V_a} |$ は相電圧の大きさなので、これを言葉で書くと、

 

線間電圧= $\sqrt{3}$ ×相電圧

 

となり、したがって、スター結線(Y結線)の場合、

 

線間電圧は相電圧の $\sqrt{3}$ 倍

 

になる。ということになります。

 

もちろん、他の相についても同じですよ。

 

図11 スター結線(Y結線)の相電圧と線間電圧のベクトル図

 

 

 

スター結線(Y結線)の相電圧と線間電圧の関係は、電験三種の「理論」「電力」科目でもよく使われる基本的な公式なので、受験する方は必ずおぼえておくようにしましょう。

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