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定電流源

電流源は次の図のように、理想的な電流源 $I$(一定の電流を出力する電源)に並列に内部抵抗 $r$(抵抗)を接続した回路で表わされます。

 

電流源

 

※電圧を出力する電源(回路に電圧を供給する電源)を電圧源というのに対し、電流を出力する電源(回路に電流を供給する電源)を電流源といいます。

 

この電流源の回路において内部抵抗 $r$ を $\infty$(無限大)[$\Omega$]とし、接続される負荷によらず常に一定の電流を出力する電源(電流源)を定電流源(または理想電流源)といいます。

 

定電流源

 

例えば次の図のように、$I$[$\mathrm{A}$]一定の電流を出力する定電流源に、可変抵抗 $R$(抵抗の大きさを変えることができる抵抗)が接続された回路があるとします。

 

定電流源に可変抵抗が接続された回路

 

この回路の電源は定電流源なので、負荷の抵抗(可変抵抗)$R$ の大きさを変化させても電源から出力される電流は常に $I$[$\mathrm{A}$]一定になります。

 

負荷の抵抗の大きさが変わっても定電流源から出力される電流は一定になる

 

このように、負荷の抵抗の大きさが変わっても常に一定の電流を出力する電源が定電流源です。

 

ちなみに、定電流源を回路図に書くときは、次のような図記号が使われます。

 

定電流源の図記号

 

 

なぜ定電流源の出力電流は常に一定になるのか?

内部抵抗 $r$ が $\infty$[$\Omega$]ではない電流源の場合は、内部抵抗 $r$ がある有限の大きさをもつ抵抗であるため、理想的な電流源 $I$ から流れ出た電流 $I$[$\mathrm{A}$]は可変抵抗 $R$ と内部抵抗 $r$ に分流してしまいます。

 

内部抵抗の大きさが無限大ではない電流源の場合は電流は可変抵抗と内部抵抗に分流する

 

このときの可変抵抗 $R$ に流れる電流 $I_R$ を分流の公式より求めてみると、

 

$I_R=\dfrac{r}{r+R} I$ ( 可変抵抗 $R$ に流れる電流 $I_R$ )

 

となり、可変抵抗 $R$ に流れる電流 $I_R$ は、可変抵抗 $R$ の大きさが変わると変わってしまいます。

 

可変抵抗の大きさが変わると可変抵抗に流れる電流も変わる

 

※分流の公式については、こちらの直流回路の計算(分圧と分流)のページを参考にしてみてください。

 

なので、内部抵抗 $r$ が $\infty$[$\Omega$]ではない電流源の出力電流は可変抵抗 $R$ の大きさによって変わるため、電源の出力電流は一定にはなりません。

 

内部抵抗の大きさが無限大ではない電流源の出力電流と可変抵抗の大きさの関係

 

※ここの解説での回路の負荷は可変抵抗 $R$ だけなので、可変抵抗 $R$ に流れる電流 $I_R$ が電源(電流源)の出力電流になります。(「可変抵抗に流れる電流」と「電源(電流源)の出力電流」が等しい。)

 

一方、定電流源の場合は内部抵抗 $r$ が $\infty$[$\Omega$]なので、内部抵抗 $r$ を $\infty$ としたときの可変抵抗 $R$ に流れる電流 $I_R$ を求めてみると、

 

$I_R=\dfrac{r}{r+R} I$

 

$=\dfrac{1}{1+\dfrac{R}{r}} I$ ( 分母と分子を $r$ で割った)

 

$=\dfrac{1}{1+\dfrac{R}{\infty}} I$ ( $r$ に $\infty$ を代入した)

 

$=\dfrac{1}{1+0} I =I$

 

$\therefore I_R=I$ …① ( 可変抵抗に流れる電流 $I_R$ は $I$ になる)

 

となり、理想的な電流源 $I$ から流れ出た電流はすべて可変抵抗 $R$ に流れることになり、内部抵抗 $r$ には分流しません。

 

定電流源の場合は理想的な電流源Iから流れ出た電流は内部抵抗に分流しない

 

また①式より、$I_R=I$ なので、可変抵抗 $R$ に流れる電流 $I_R$ は可変抵抗 $R$ の大きさによらず、可変抵抗 $R$ の大きさがいくらであっても可変抵抗に流れる電流 $I_R$ は常に $I$[$\mathrm{A}$]一定になることが分かります。

 

可変抵抗に流れる電流の大きさは可変抵抗の大きさと無関係

 

なので、定電流源の出力電流は一定になるんです。

 

定電流源の出力電流と可変抵抗(負荷)の大きさの関係

 

このように定電流源は、負荷が変わっても常に一定の電流を出力するので、理想的な電源(電流源)といえます。

 

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定電流源はいくらでも電圧をかけられる

ここまでの解説のとおり、定電流源は、負荷が変わっても常に一定の電流を出力します。

 

ということは…。

 

例えば次の図のように、$2\,\mathrm{A}$ の電流を出力する定電流源に $5\,\Omega$ の抵抗 $R$ が接続された回路があるとします。

 

2Aの定電流源に5Ωの抵抗が接続された回路

 

この回路の抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$[$\mathrm{V}$]は、オームの法則より、

 

$V_R=2\,\mathrm{A}\times 5\,\Omega =10\,\mathrm{V}$

 

$\therefore V_R=10\,\mathrm{V}$ ( 抵抗 $R$ が $5\,\Omega$ のときの抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$ )

 

となり、抵抗 $R$ が $5\,\Omega$ のときは抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$ は $10\,\mathrm{V}$ になりますね。

 

では、抵抗 $R$ がもっと大きいときはどうなるのでしょうか?

 

同じ回路で抵抗 $R$ を $500\,\Omega$ としてみましょう。

 

2Aの定電流源に500Ωの抵抗が接続された回路

 

すると、抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$ は、

 

$V_R=2\,\mathrm{A}\times 500\,\Omega =1000\,\mathrm{V}$

 

$\therefore V_R=1000\,\mathrm{V}$ ( 抵抗 $R$ が $500\,\Omega$ のときの抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$ )

 

となり、抵抗 $R$ が $500\,\Omega$ のときは抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$ は $1000\,\mathrm{V}$ になります。さきほどの $5\,\Omega$ のときと比べると、なんと $100$ 倍です!

 

ではでは、抵抗 $R$ をもっと極端に大きくして、同じ回路で抵抗 $R$ を $\infty$[$\Omega$]にしてみましょう。

 

2Aの定電流源に無限大の大きさの抵抗が接続された回路

 

すると、抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$ は、

 

$V_R=2\,\mathrm{A}\times \infty =\infty$[$\mathrm{V}$]

 

$\therefore V_R=\infty$[$\mathrm{V}$] ( 抵抗 $R$ が $\infty$[$\Omega$]のときの抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$ )

 

となり、抵抗 $R$ が $\infty$[$\Omega$]のときは抵抗 $R$ にかかる電圧 $V_R$ は $\infty$(無限大) になります。

 

このように、定電流源は常に一定の電流を出力するので、負荷の抵抗の大きさを変えるといくらでも電圧をかけることができるんです。(理論上)

 

ちなみに、抵抗 $R$ が $\infty$[$\Omega$]というのは、定電流源を開放した場合に相当します。

 

定電流源を開放した場合はものすごく大きな電圧(計算上は無限大の電圧)がかかるので、定電流源は開放しないようにしなければなりません。

 

定電流源を開放すると危険

 

電流源の開放はこわいですねー、こわいですよー。

 

定電流源のまとめ
  • 電源の内部抵抗が $\infty$[$\Omega$]で、接続される負荷によらず常に一定の電流を出力する電源を定電流源(または理想電流源)という
  • 定電流源の内部抵抗は $\infty$[$\Omega$]なので、内部抵抗への分流はない(なので、一定の電流(定電流)を出力できる)
  • 定電流源からかけられる電圧は最大で無限大になる(なので、定電流源を開放するのは危険!)

 

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定電流源は一定の電流を出力する電源ですが、電流ではなく一定の電圧を出力する電源として定電圧源があります。定電圧源については、こちらの定電圧源のページを参考にしてみてください。



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