スポンサーリンク
分岐回路の開閉器および過電流遮断器の施設(電技解釈第149条)
※ページ内にPR・広告が含まれる場合があります。
分岐回路の開閉器および過電流遮断器の施設に関する問題は、第二種電気工事士学科試験で度々出題されている重要な項目です。
この「分岐回路の開閉器および過電流遮断器の施設」は、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)の第149条で規定されていて、次のような内容です。
電気設備の技術基準の解釈 第149条(低圧分岐回路等の施設)−抜粋−
低圧分岐回路には、次の各号により過電流遮断器及び開閉器を施設すること。
一.低圧幹線との分岐点から電線の長さが $3\,\mathrm{m}$ 以下の箇所に、過電流遮断器を施設すること。ただし、分岐点から過電流遮断器までの電線が、次のいずれかに該当する場合は、分岐点から $3\,\mathrm{m}$ を超える箇所に施設することができる。
イ.電線の許容電流が、その電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の $55\,\%$ 以上である場合
ロ.電線の長さが $8\,\mathrm{m}$ 以下であり、かつ、電線の許容電流がその電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の $35\,\%$ 以上である場合
規格・基準の文章って、けっこう分かりにくかったりしますよね?
そこでまず初めに、この条文に出てくる用語について簡単に説明します。
スポンサーリンク
用語の解説
低圧幹線と分岐点
「低圧」= $600\,\mathrm{V}$ 以下の電圧
「幹線」=電線が分岐する前の大元の電線
なので、低圧幹線は、
電圧が $600\,\mathrm{V}$ 以下のもので、電線が分岐する前の大元の電線
という意味になります。
また、分岐点は幹線から電路が分岐する(分かれる)ところのことをいいます。
開閉器
開閉器は電路を開閉(ON/OFF)するものなので、つまりスイッチと考えておけばいいです。
過電流遮断器
過電流遮断器は、電路(配線)に大きな電流が流れたときに、自動的に電路を切り離すものです。
電路に大きな電流が流れ続けると、電線が燃えてしまいます!!
そこで、電路に大きな電流が流れたときには、電流が流れ続けないように過電流遮断器が自動でOFF(電路を遮断)して電流が流れないようにします。
電線の許容電流
電線の許容電流とは、その電線に安全に流すことができる電流の大きさ(限界電流)のことです。
以上、用語についてはイメージできたと思うので、次は本題です。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
分岐回路の開閉器および過電流遮断器の施設
電技解釈第149条(一)に書いている文章は長くて意味が分かりにくいのですが、次の($\mathrm{a}$)〜($\mathrm{c}$)の3つに分けて考えると分かりやすいと思います。(条文をちょっといじって3つに分けてみました。)
($\mathrm{a}$)
低圧幹線との分岐点から電線の長さが $3\,\mathrm{m}$ 以下の箇所に開閉器及び過電流遮断器を施設すること。
($\mathrm{b}$)
分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の長さが $8\,\mathrm{m}$ 以下の場合は、分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の許容電流がその電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の $35\,\%$ 以上である場合は、分岐点から $3\,\mathrm{m}$ を超える箇所に施設することができる。
($\mathrm{c}$)
分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の許容電流がその電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の $55\,\%$ 以上である場合は、分岐点から $3\,\mathrm{m}$ を超える箇所に施設することができる。
(a)これが原則(3m以下)
低圧幹線との分岐点から電線の長さが $3\,\mathrm{m}$ 以下の箇所に開閉器及び過電流遮断器を施設すること。
$3\,\mathrm{m}$ 以下に施設するのが原則で、
次の(b)、(c)の条件にあてはまらない場合は、分岐点から 3m 以下のところに開閉器および過電流遮断器を施設しなければならない。
ということになります。
(b)8m以下に施設することもできる
分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の長さが $8\,\mathrm{m}$ 以下の場合は、分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の許容電流がその電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の $35\,\%$ 以上である場合は、分岐点から $3\,\mathrm{m}$ を超える箇所に施設することができる。
「分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の許容電流」が「幹線の過電流遮断器の定格電流」の35%以上の場合は、$3\,\mathrm{m}$ を超える箇所に施設することができます。
が、条件として「分岐点から開閉器および過電流遮断器までの電線の長さが $8\,\mathrm{m}$ 以下」なので、次のように理解しておけばいいです。
「分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の許容電流」が「幹線の過電流遮断器の定格電流」の 35% 以上の場合は、8m 以下のところに施設できる。
(c)どこに施設してもOK(施設制限なし)
分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の許容電流がその電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の $55\,\%$ 以上である場合は、分岐点から $3\,\mathrm{m}$ を超える箇所に施設することができる。
「分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の許容電流」が「幹線の過電流遮断器の定格電流」の55%以上の場合は、$3\,\mathrm{m}$ を超える箇所に施設することができます。つまり、
「分岐点から開閉器及び過電流遮断器までの電線の許容電流」が「幹線の過電流遮断器の定格電流」の 55% 以上の場合は、どこに施設してもよい。((b)と違い、(c)の場合は電線の長さに制限がありません。)
ということになります。
以上を図にまとめてみると次のようになります。
この分岐回路の施設(電技解釈第149条)の問題は第二種電気工事士の学科試験の計算問題で度々出題されているので、「幹線の過電流遮断器の定格電流」と「電線の許容電流」と「施設箇所までの電線の長さ」の関係をおぼえておくようにしましょう。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
このページを読んだら、4択クイズをやってみよう!
分岐回路の開閉器および過電流遮断器の施設の4択クイズはこちら ⇒ 第二種電気工事士学科試験の4択クイズ 分岐回路の開閉器および過電流遮断器の施設
スポンサーリンク
分岐回路の開閉器および過電流遮断器の施設(電技解釈第149条) 関連ページ
- 電線の許容電流(電技解釈第146条)
- 第二種電気工事士学科試験の「配線設計」分野で出題される電線の許容電流について、解き方のポイントをまとめています。電線の許容電流(電技解釈第146条)に関する問題はほぼ毎年(毎回)出題されますので、ここで解き方のポイントをおさえておきましょう。
- 配線用遮断器の動作時間(電技解釈第33条)
- 第二種電気工事士学科試験の「配線設計」分野で出題される配線用遮断器の動作時間についてまとめています。配線用遮断器の動作時間(電技解釈第33条)に関する問題は学科試験でときどき出題されるのでおぼえておくようにしましょう。
- 幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値(電技解釈第148条)
- 第二種電気工事士学科試験の「配線設計」分野で出題される「幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値」の求め方をまとめています。幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値(電技解釈第148条)に関する問題は、第二種電気工事士学科試験でよく出題されていますので求め方をおぼえておきましょう。
- 分岐回路の電線の太さと接続できるコンセント(電技解釈第149条)
- 第二種電気工事士学科試験で出題される「分岐回路の電線の太さと接続できるコンセント」についてまとめています。分岐回路を保護する過電流遮断器または配線用遮断器の定格電流、電線の太さにより接続できるコンセントの定格電流が決まります。