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配線用遮断器の動作時間(電技解釈第33条)
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配線用遮断器の動作時間の問題は、第二種電気工事士学科試験でときどき出題されています。
配線用遮断器の動作時間とはどういう意味か?
というと、
配線用遮断器が動作するまでの時間
のことです。
あれ? そのまんま過ぎて説明になっていないですね。
まずは、ここでの話のメインになる配線用遮断器とはどんなものか見てみましょう。
この配線用遮断器は、$\mathrm{AC}110\mathrm{V}$ $20\mathrm{A}$ $2\mathrm{P}1\mathrm{E}$(2極1素子)のものです。(ちなみに、配線用遮断器は、ブレーカとか、サーキットブレーカとも呼ばれます。)
写真を見ると分かるように、配線用遮断器は「入」と「切」を切り替えることができるので、つまり、スイッチ(開閉器)の役目もすることができます。
それからもう一つ重要な役目があって、ある決まった電流以上の大きな電流が流れたら、ある決められた時間以内に自動的に「入の状態」から「切の状態」に切り替えるというものです。つまり、大きな電流が流れると自動でパツンと切ってしまうんです。
電線に大きな電流が流れ続けると、最悪の場合、電線は燃えてしまいます。電線が燃えてしまうと、そこから火事になってしまったりして大変ですよね。
なので、電線が危険な状態になる前に配線用遮断器で自動的に電流を切ってしまいましょう! ということなんですね。つまり、配線用遮断器は電線を保護する役目も持っています。
配線用遮断器のイメージはできたでしょうか? 配線用遮断器は主に「スイッチ(開閉器)の役目」と「電線保護の役目」をしているということですね。
イメージができたところで、配線用遮断器の動作時間の話に戻します。
上で書いたように、配線用遮断器は電線を保護するために、
ある決まった電流以上の大きな電流が流れたら、ある決められた時間以内にパツンと切ってしまうもの
でした。
この文章の中の「ある決められた時間」というのが動作時間のことをいっていて、つまり動作時間を簡単にいうと、
大きな電流が流れ始めてから配線用遮断器が「切」になるまでの時間
ということになります。
この電流と時間は「電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)」の第33条で決められていて、第二種電気工事士学科試験でときどき出題されています。
電技解釈第33条をすべておぼえるのは大変なので、学科試験でよく出題されているところだけをまとめると、次の①、②になります。
①定格電流の1倍の電流で自動的に動作しないこと。
定格電流とは、配線用遮断器毎に決まっている値で、例えば写真の配線用遮断器の場合は $20\,\mathrm{A}$ になります。
なので、定格電流の $1$ 倍、つまり定格電流と同じ大きさの電流が流れているときは配線用遮断器は自動的に「切」になってはダメですよ、ということです。
②定格電流の1.25倍または2倍の電流を通じた場合、次の表の時間以内に自動的に動作すること。
配線用遮断器の定格電流 | 動作時間 | |
---|---|---|
定格電流の $1.25$ 倍の 電流を通じた場合 |
定格電流の $2$ 倍の 電流を通じた場合 |
|
$30\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $2$ 分 |
$30\,\mathrm{A}$ を超え $50\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $4$ 分 |
$50\,\mathrm{A}$ を超え $100\,\mathrm{A}$ 以下 | $120$ 分 | $6$ 分 |
写真の配線用遮断器の場合で表の見方を説明すると、配線用遮断器の定格電流は $20\,\mathrm{A}$ なので、表の「配線用遮断器の定格電流」は「$30\,\mathrm{A}$ 以下」のところに該当します。
配線用遮断器の定格電流 | 動作時間 | |
---|---|---|
定格電流の $1.25$ 倍の 電流を通じた場合 |
定格電流の $2$ 倍の 電流を通じた場合 |
|
$30\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $2$ 分 |
$30\,\mathrm{A}$ を超え $50\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $4$ 分 |
$50\,\mathrm{A}$ を超え $100\,\mathrm{A}$ 以下 | $120$ 分 | $6$ 分 |
それで、流れた電流が定格電流の $1.25$ 倍、つまり $20\,\mathrm{A}\times 1.25=25\,\mathrm{A}$ だったときには、$60$ 分以内に配線用遮断器が動作(自動的に「切」になるという意味)しなければダメですよ、ということになります。
配線用遮断器の定格電流 | 動作時間 | |
---|---|---|
定格電流の $1.25$ 倍の 電流を通じた場合 |
定格電流の $2$ 倍の 電流を通じた場合 |
|
$30\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $2$ 分 |
$30\,\mathrm{A}$ を超え $50\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $4$ 分 |
$50\,\mathrm{A}$ を超え $100\,\mathrm{A}$ 以下 | $120$ 分 | $6$ 分 |
また、流れた電流が定格電流の $2$ 倍でした! という場合は、表中の「定格電流の $2$ 倍の電流を通じた場合」に該当するので、このときは $2$ 分以内に配線用遮断器が動作(自動的に「切」になるという意味)しなければダメですよ、ということになります。
配線用遮断器の定格電流 | 動作時間 | |
---|---|---|
定格電流の $1.25$ 倍の 電流を通じた場合 |
定格電流の $2$ 倍の 電流を通じた場合 |
|
$30\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $2$ 分 |
$30\,\mathrm{A}$ を超え $50\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $4$ 分 |
$50\,\mathrm{A}$ を超え $100\,\mathrm{A}$ 以下 | $120$ 分 | $6$ 分 |
こんな感じで「配線用遮断器の定格電流」と「流れた電流の大きさ」によって、配線用遮断器が動作しなければならない時間が電技解釈第33条で決められています。
電技解釈第33条では、もっと大きな電流のときの動作時間についても書かれていますが、これまでの試験問題をみると第二種電気工事士の学科試験対策としては上の表だけおぼえておけば十分だと思います。($50\,\mathrm{A}$ を超え $100\,\mathrm{A}$ 以下はいらないような…)
あとそれから、学科試験では、「配線用遮断器の定格電流が $30\,\mathrm{A}$ 以下の場合で、定格電流の $1.25$ 倍の電流を通じた場合の動作時間($60$ 分)」と「配線用遮断器の定格電流が $30\,\mathrm{A}$ 以下の場合で、定格電流の $2$ 倍の電流を通じた場合の動作時間($2$ 分)」がよく出題されています。ですので、この「$60$ 分」と「$2$ 分」は必ずおぼえておくようにしましょう!
配線用遮断器の定格電流 | 動作時間 | |
---|---|---|
定格電流の $1.25$ 倍の 電流を通じた場合 |
定格電流の $2$ 倍の 電流を通じた場合 |
|
$30\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $2$ 分 |
$30\,\mathrm{A}$ を超え $50\,\mathrm{A}$ 以下 | $60$ 分 | $4$ 分 |
$50\,\mathrm{A}$ を超え $100\,\mathrm{A}$ 以下 | $120$ 分 | $6$ 分 |
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