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絶縁抵抗計による絶縁抵抗の測定方法と絶縁抵抗値
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絶縁抵抗を測定するときは、絶縁抵抗計を使います。
絶縁抵抗計はメガーともいい、絶縁抵抗計には、測定された絶縁抵抗値を針(指針)で示すアナログ表示式や、測定された絶縁抵抗値を数値で表示するディジタル表示式のものなどがあります。
ちなみに、昔は電池がいらない手回し式の絶縁抵抗計もあったんですけどね、手でぐるぐる回して使う。今はほとんど見る機会がありませんけど・・・。
写真の絶縁抵抗計(メガー)は電池内蔵型(電池で動く)の絶縁抵抗計で、測定された絶縁抵抗値を針(指針)で示すアナログ表示式のものです。
写真の絶縁抵抗計には、測定するときに切り替えるダイヤル(使う機能などを切り替えるダイヤル※)、測定するときに押す測定ボタン、測定された絶縁抵抗値を表示する表示パネルがあります。(※絶縁抵抗計によっては、ダイヤルを切り替えて出力する電圧(定格測定電圧)の大きさを切り替えることができるものもあります。)
絶縁抵抗を測定するときは、ダイヤルを適切な位置に切り替え、測定ボタンを押します。測定ボタンを押すと絶縁抵抗計から直流電圧が出力され、絶縁抵抗が測定されます。
ちなみに、絶縁抵抗計と似ているもの(といっても名前が似ているくらい?)に接地抵抗計がありますが、接地抵抗計の出力は交流、絶縁抵抗計の出力は直流です。2つを混同しないようにしましょう。
それから、絶縁抵抗を測定するときは、測定する対象に合った適切な電圧(定格測定電圧)が出力される絶縁抵抗計を使って測定しなければなりません。適切な電圧よりも大きな電圧をかけてしまうと機器を壊してしまうかも、なので注意しましょう!
では次に、絶縁抵抗の測定方法について解説します。
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電路と大地間の絶縁抵抗の測定方法
絶縁抵抗計で電路と大地間の絶縁抵抗を測定するときは、次の手順で測定します。
ちょっとその前に、電路と大地間の絶縁抵抗のイメージは、こんな感じです。
電路と大地間なので、電路と大地の間の絶縁抵抗ってことです。(ま、そのまんまなんですが・・・)
測定手順①
分岐開閉器を開放(OFF)して、負荷と電源を切り離します。
測定手順②
負荷を使用状態にして、点滅器(スイッチ)をすべて入(ON)にします。
「負荷を使用状態にする」というのは、例えば、電球だったら電球を取り付ける、テレビだったらテレビのコンセント(プラグ)を差しておくという意味です。
測定手順③
分岐開閉器の負荷側の2線を接続します。
測定手順④
絶縁抵抗計の「E」端子を接地極に接続し、絶縁抵抗計の「L」端子を分岐開閉器の負荷側に接続します。
測定手順⑤
絶縁抵抗計の測定ボタンを押して、絶縁抵抗を測定します。
分岐開閉器の電源側と負荷側
分岐開閉器からみて電源がある方が電源側、反対に電気機器などがある方が負荷側になります。
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電線相互間の絶縁抵抗の測定方法
絶縁抵抗計で電線相互間の絶縁抵抗を測定するときは、次の手順で測定します。
ちなみに、電線相互間の絶縁抵抗のイメージは、こんな感じ。
電線相互間なので、電線と電線の間の絶縁抵抗ってことです。(これも、ま、そのまんまなんですが・・・)
測定手順①
分岐開閉器を開放(OFF)して、負荷と電源を切り離します。
測定手順②
負荷を取り外して、点滅器(スイッチ)をすべて入(ON)にします。
「負荷を取り外す」というのは、例えば、電球だったら電球を取り外す、テレビだったらテレビのコンセント(プラグ)を抜くという意味です。
測定手順③
絶縁抵抗計の「E」端子と「L」端子を分岐開閉器の負荷側に接続します。(分岐開閉器の負荷側にLとEを接続するときは、どっちをどっちにつないでもいいです。)
測定手順④
絶縁抵抗計の測定ボタンを押して、絶縁抵抗を測定します。
絶縁抵抗を測定するときの負荷
「電路と大地間の絶縁抵抗」を測定するときは負荷を使用状態にしますが、「電線相互間の絶縁抵抗」を測定するときは負荷を取り外して測定します。ゴチャゴチャにおぼえないように気を付けましょう。
低圧電路の絶縁抵抗値
絶縁抵抗を測定したら、その測定した絶縁抵抗値がOKな値なのか? ダメな値なのか? 判断しなければなりません。
低圧電路の絶縁抵抗値は「電気設備に関する技術基準を定める省令」で規定されていて、電路と大地間および電線相互間の絶縁抵抗値は、使用電圧の区分により次の表のように決められています。
低圧電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 | 主な電路の例 | |
---|---|---|---|
300V以下 | 対地電圧が150V以下の場合 | 0.1MΩ以上 | 単相2線式100V 単相3線式100/200V |
その他の場合(150Vを超え300V以下) | 0.2MΩ以上 | 三相3線式200V | |
300Vを超えるもの | 0.4MΩ以上 | 三相4線式400V |
上の表は、例えば、電路の使用電圧が300V以下で対地電圧が150V以下の電路の場合には、測定された絶縁抵抗値が「0.1MΩ以上だったらいいですよ!」ということです。
なので、使用電圧が300V以下で対地電圧が150V以下の電路の絶縁抵抗を測定したときに、その絶縁抵抗値が0.1MΩよりも小さい値だったら、
ダメっす! 絶縁悪いっす!
ということになってしまいます。
それから、上の表の右側に主な電路(例)の種類が書かれてありますが、この中の単相3線式100/200Vは「対地電圧が150V以下の場合」に該当するので注意しましょう。
単相3線式は、100Vと200Vの電圧のどちらも使うことができますが、単相3線式の200Vは線間電圧の値であって、対地電圧が200Vということではありません。(単相3線式の対地電圧は100Vになります。)
なので、単相3線式100/200Vの絶縁抵抗値は0.1MΩ以上なければダメですよということになります。
対地電圧と線間電圧
対地電圧は「大地に対しての電圧」なので、つまり、接地に対して何ボルト? という電圧です。
線間電圧は「電線と電線の間の電圧」で、つまり、2つの電線の間の電圧は何ボルト? という電圧です。
絶縁抵抗測定が困難な場合の絶縁性能の確認
絶縁抵抗計を使って絶縁抵抗を測定するときは、分岐開閉器を開放(OFF)してから絶縁抵抗を測定するので、分岐開閉器から負荷側には電気がきていない状態になります。つまり、絶縁抵抗計で絶縁抵抗を測定するときは停電状態になりますよ、ってことです。
すると、絶縁が良い!とか、絶縁が悪い!とか、絶縁抵抗計を使って絶縁性能を確認するときは、いつも停電させなくてはならないことになりますが、場合によっては、停電させることが難しい場合もあります。(え?停電するんですか?! ちょっとそれは勘弁・・・、みたいな状況)
そんな絶縁抵抗測定が困難な場合には、漏えい電流(漏れ電流)を測定して絶縁性能を確認します。
絶縁性能を有していると判断できる漏えい電流の最大値は、「電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)」により1mA※ と定められています。
※最大値が1mAなので、漏えい電流を測定してみて、1mA以下だったらOK、1mAより大きかったらダメってことです。
絶縁性能を有していると判断できる漏えい電流の最大値「1mA」は、第二種電気工事士の学科試験でそこそこ出題されているので、おぼえておいた方がいいですよ!
- 電路と大地間の絶縁抵抗を測定するときには、負荷は使用状態にする
- 電線相互間の絶縁抵抗を測定するときには、負荷は取り外す
- 単相3線式100/200Vの絶縁抵抗値は0.1MΩ以上
- 三相3線式200Vの絶縁抵抗値は0.2MΩ以上
- 絶縁性能を有していると判断できる漏えい電流の最大値は1mA
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このページを読んだら、4択クイズをやってみよう!
絶縁抵抗計と絶縁抵抗の測定の4択クイズはこちら ⇒ 第二種電気工事士学科試験の4択クイズ 絶縁抵抗計と絶縁抵抗の測定
漏えい電流(漏れ電流)を測定するときは、クランプ形漏れ電流計を使って測定します。漏れ電流の測定方法については、こちらのクランプ形の電流計による電流の測定のページを参考にしてみてください。
このページで使用している写真は、(一財)電気技術者試験センターが作成した第二種電気工事士学科試験の試験問題に掲載されている写真です。
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