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電験三種「理論」平成21年度 問1の過去問と解説
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電験三種「理論」平成21年度問1の過去問の解説です。
電験三種「理論」平成21年度(2009年度) 問1
電験三種「理論」の平成21年度問1(A問題)の問題です。
この問題を解くためのポイント
この問題を解くためのポイントは、
- コンデンサが電源に並列に接続されている。つまり、どちらのコンデンサにも同じ電源電圧がかかる。
- 電界の強さ、電束密度、コンデンサに関する基本的な公式を知っているか?
です。
ポイント1
ポイント1.は電気回路を考えるときのちょー基本なのですが、問題の回路図をみると抵抗ではなくコンデンサなので、たまに気付かない人もいます。(そんなことないか?)
上の左図は抵抗の並列接続回路ですが、抵抗の回路であれば「抵抗 $R_1$ と $R_2$ にかかる電圧はどちらも電源電圧 $V$ になる」というのは分かると思います。
一方、上の右図はコンデンサの並列接続回路です。コンデンサの並列接続回路でも抵抗の回路と同様に「コンデンサ $C_1$ と $C_2$ にかかる電圧はどちらも電源電圧 $V$」になります。
回路の素子(この場合、抵抗か?コンデンサか?)が違っていても素子にかかる電圧は同じということですね。
ポイント2
ポイント2.は電界の強さ、電束密度、コンデンサに関する基本的な公式を知っていればいいだけですが、電束密度の公式を忘れている人が多いです。
電束密度の公式・・・、忘れちゃったりしてないですか?
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電験三種「理論」平成21年度(2009年度) 問1(A問題)の解説
(ア)電界の強さE1、E2を求める問題
(ア)は電界の強さ $E_1$、$E_2$ を求める問題で、電圧と電界の強さの関係を表わす公式が分かれば簡単に求められます。電圧と電界の強さの関係を表わす公式は、電圧を $V$、電界を $E$、コンデンサの電極板間隔を $d$ とすると、
$V=E\, d$ …@ ですね。
それで、「この問題を解くためのポイント」でも書きましたが、問題の回路図は電源にコンデンサ $C_1$ と $C_2$ が並列接続されているので、コンデンサ $C_1$ と $C_2$ にかかる電圧はどちらも電源電圧 $V_0$[$\mathrm{V}$]になります。
それから、コンデンサの電極板間隔は、問題に書いてあるようにどちらのコンデンサも $d$[$\mathrm{m}$]ですね。
したがって、求めたい電界の強さ $E_1$ は、@の公式に電圧 $V_0$ とコンデンサの電極板間隔 $d$ をあてはめて、
$V_0=E_1\, d$
$\therefore E_1=\dfrac{V_0}{d}$ [$\mathrm{V/m}$] …(答)
となります。
また、もう一つの求めたい電界の強さ $E_2$ も同じようにして求められ、
$V_0=E_2\, d$
$\therefore E_2=\dfrac{V_0}{d}$ [$\mathrm{V/m}$] …(答)
となります。
(イ)電束密度D1、D2を求める問題
(イ)は電束密度 $D_1$、$D_2$ を求める問題で、電束密度と電界の強さの関係を表わす公式が分かれば求められます。
電束密度と電界の強さの関係を表わす公式は、電束密度を $D$、電界の強さを $E$、コンデンサの誘電体の誘電率を $\varepsilon$ とすると、
$D=\varepsilon\,E$ …A です。
Aの公式の電界の強さ $E$ は(ア)で求められているので、あとは誘電体の誘電率 $\varepsilon$ が分かれば電束密度 $D$ を求められます。
問題を見てみると、真空の誘電率は $\varepsilon_0$、コンデンサ $C_1$ の比誘電率は $\varepsilon_{r1}$、コンデンサ $C_2$ の比誘電率は $\varepsilon_{r2}$ と書いてあるので、コンデンサ $C_1$、$C_2$ の誘電体の誘電率をそれぞれ $\varepsilon_1$、$\varepsilon_2$ とすると、
$\varepsilon_1 =\varepsilon_0\cdot\varepsilon_{r1}$
$\varepsilon_2 =\varepsilon_0\cdot\varepsilon_{r2}$
となります。
したがって、コンデンサ $C_1$ の電束密度 $D_1$ は、
$D_1=\varepsilon_1\, E_1=\varepsilon_0\,\varepsilon_{r1}\cdot\dfrac{V_0}{d} =\dfrac{\varepsilon_0\,\varepsilon_{r1}}{d} V_0$
$\therefore D_1=\dfrac{\varepsilon_0\,\varepsilon_{r1}}{d} V_0$ [$\mathrm{C/m^2}$] …(答)
となり、コンデンサ $C_2$ の電束密度 $D_2$ は、
$D_2=\varepsilon_2\, E_2=\varepsilon_0\,\varepsilon_{r2}\cdot\dfrac{V_0}{d} =\dfrac{\varepsilon_0\,\varepsilon_{r2}}{d} V_0$
$\therefore D_2=\dfrac{\varepsilon_0\,\varepsilon_{r2}}{d} V_0$ [$\mathrm{C/m^2}$] …(答)
となります。
(ウ)コンデンサに蓄えられる電荷Q1、Q2を求める問題
(ウ)はコンデンサに蓄えられる電荷 $Q_1$、$Q_2$ を求める問題で、コンデンサに蓄えられる電荷と電圧の関係を表わす公式を使って求めていきます。
コンデンサに蓄えられる電荷と電圧の関係を表わす公式は、蓄えられる電荷を $Q$、コンデンサにかかる電圧を $V$、コンデンサの静電容量を $C$ とすると、
$Q=C\,V$ …B です。
B式の電圧 $V$ は(ア)でも説明したようにコンデンサ $C_1$、$C_2$ ともに $V_0$ になるので、あとはコンデンサの静電容量が分かればいいですね。
コンデンサ $C_1$ と $C_2$ の静電容量をそれぞれ ${C_1}^\prime$、${C_2}^\prime$ とすると、コンデンサの静電容量の公式より、
${C_1}^\prime =\varepsilon_0\,\varepsilon_{r1}\cdot\dfrac{S}{d}$ 、 ${C_2}^\prime =\varepsilon_0\,\varepsilon_{r2}\cdot\dfrac{S}{d}$
となります。(コンデンサの静電容量の公式 $\left( C=\varepsilon\dfrac{S}{d}\right)$ に、$C_1$、$C_2$ それぞれの誘電率、電極板面積、電極板間隔をあてはめただけです。)
したがって、コンデンサ $C_1$ に蓄えられる電荷 $Q_1$ は、
$Q_1={C_1}^\prime\, V_0=\varepsilon_0\,\varepsilon_{r1}\cdot\dfrac{S}{d}\cdot V_0$ $=\dfrac{\varepsilon_0\,\varepsilon_{r1}}{d} S\, V_0$
$\therefore Q_1=\dfrac{\varepsilon_0\,\varepsilon_{r1}}{d} S\, V_0$ [$\mathrm{C}$] …(答)
となり、コンデンサ $C_2$ に蓄えられる電荷 $Q_2$ は、
$Q_2={C_2}^\prime\, V_0=\varepsilon_0\,\varepsilon_{r2}\cdot\dfrac{S}{d}\cdot V_0$ $=\dfrac{\varepsilon_0\,\varepsilon_{r2}}{d} S\, V_0$
$\therefore Q_2=\dfrac{\varepsilon_0\,\varepsilon_{r2}}{d} S\, V_0$ [$\mathrm{C}$] …(答)
となります。
以上で、(ア)、(イ)、(ウ)の答を求めることができました。
問題で与えられる誘電率について
この問題のように誘電体の誘電率を表わす量が「比誘電率」で与えられている場合には、誘電体の誘電率は「比誘電率」に「真空の誘電率」をかけたものになります。(誘電率=比誘電率×真空の誘電率)
電界の強さと電界(用語)について
「電界の強さ」は、単に「電界」と言ったり、「電界強度」、「電界の大きさ」と言ったりもします。
この問題を解くために使った公式
電圧と電界の強さの公式:$V=E\, d$
電束密度と電界の強さの公式:$D=\varepsilon\, E$
誘電率の公式:$\varepsilon =\varepsilon_0\,\varepsilon_r$
電荷の公式:$Q=C\, V$
コンデンサの静電容量の公式:$C=\varepsilon_0\,\varepsilon_r\dfrac{S}{d}$
この問題のように電験三種の問題では、公式を知っているか?知らないか?で得点できる、できないが決まる問題も多くあるので、過去問題を解くときに使った公式は最低限おぼえておくようにしましょう。
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コンデンサの直列接続と並列接続についてもうちょっと詳しく知りたい方は、こちらのコンデンサの静電容量と電荷の計算の基本(直列接続と並列接続)のページにまとめていますので参考にしてみてください。
おすすめの電験三種の過去問題集はこちら、電験三種の参考書はこちら、電験三種用の数学参考書はこちらで紹介していますので参考にしてみてください。
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