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導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題の解き方
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第二種電気工事士学科試験の導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題の解き方について解説しています。
第二種電気工事士学科試験を受験する方の中には、
計算問題が苦手!とか、
計算問題はもう捨てちゃいました!(捨てないで〜)
という方もいるかもしれませんが、第二種電気工事士学科試験で出題されている計算問題のほとんどは、
- 過去に出題された計算問題とまったく同じ問題
- 過去に出題された計算問題の数値を変えただけの問題
- ちょっとだけ何か(?)を変えた類似問題
で、出題項目ごとに過去問題を見てみると、問題の出題パターンもほぼ同じです。
ですので、計算問題が苦手な方でも、出題項目ごとにおぼえることをおぼえて解き方のパターンに慣れてしまえば、計算問題でも点数をとれるようになります。
このページでは、過去に試験で出題された過去問題を使って導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題の解き方について解説していますので、このページを読んで導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題を解けるようになりましょう。
計算問題も解けるようになると、合格がぐぐぐーん!と近づきますよ!
問題には過去問題を使っていますので、過去問題の勉強にもなると思います。
導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題を解くための基礎知識
まず初めに、導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題を解くためにおぼえておかなければならないことをおぼえてしまいましょう。
導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題を解けるようになるためにおぼえておかなければならないのは、次の2つの電線の抵抗の公式です。
- 電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式
- 電線の太さが直径の電線の抵抗の公式
この2つの公式をおぼえておけば、あとはこの公式のどちらかに問題で与えられた値(条件)を当てはめて式を変形するだけです。
このページに掲載している問題は、2つの公式の両方をおぼえていなくても、どちらか1つをおぼえていれば解けます。
電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式
電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式は次のような公式で、この公式の電線の太さは断面積で与えられます。
電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式:$R=\rho\dfrac{L}{S}$ …①
①式の $R$ は電線の抵抗[$\Omega$]、$\rho$ は電線の抵抗率[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$]、$L$ は電線の長さ[$\mathrm{m}$]、$S$ は電線の断面積[$\mathrm{m^2}$]を表わし、①式は、電線の抵抗率 $\rho$ 、電線の長さ $L$ 、電線の断面積 $S$ が分かれば、電線の抵抗 $R$ を求めることができますよ、という式です。
抵抗率 $\rho$ は電流の流れにくさを表わすもので、電線の材料によって異なる値になります。抵抗率が大きいほど電流は流れにくく、抵抗率が小さいほど電流は流れやすくなります。
この①式は「電線の太さが断面積で表わされた電線の抵抗」を求めるときによく使われる公式ですが、①式には電線の抵抗率 $\rho$ が含まれているので、①式を変形することで、①式から電線の抵抗率 $\rho$ を表わす式( $\rho =\cdots$ の式)をつくることもできます。
①式から電線の抵抗率 $\rho$ を表わす式をつくるときは、次のように①式を変形します。
$R=\rho\dfrac{L}{S}$ (①式)
$S\times R=\rho L$ (両辺に $S$ をかけた)
$\dfrac{SR}{L} =\rho$ (両辺を $L$ で割った)
$\therefore \rho=\dfrac{SR}{L}$ (電線の抵抗率 $\rho$ を表わす式)
変形できた!
このようにすると、電線の抵抗の公式から電線の抵抗率の式をつくることができます。
電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式については、ここでは「①式」と「電線の抵抗の公式から電線の抵抗率の式をつくることができる」をおぼえておけばいいのですが、ここで、ちょっとだけ注意することがあります。(ちょっとじゃないけど…。)
そ、それは、単位です!
①式中の $S$ は電線の断面積を表わしますが、この $S$ の単位は$\boldsymbol{\mathrm{m^2}}$(平方メートル)です。
なので、問題に書かれている電線の断面積の単位が「 $\mathrm{mm^2}$ 」(平方ミリメートル)だったら、その電線の断面積を「 $\mathrm{mm^2}$ 」(平方ミリメートル)から「 $\mathrm{m^2}$ 」(平方メートル)に直して①式の公式に代入しなければなりません。(換算が必要ってことです。)
$\mathrm{mm^2}$(平方ミリメートル)を $\mathrm{m^2}$(平方メートル)に直す(換算する)ときは、$\mathrm{mm^2}$(平方ミリメートル)の値に $10^{-6}$ をかけます。例えば、$1\,000\,000\,\mathrm{mm^2}$(百万平方ミリメートル) …② を平方メートルに直すときは、②の値に $10^{-6}$ をかけます。
$1\,000\,000$[$\mathrm{mm^2}$]$\times\color{#ff3333}{10^{-6}}$ ⇒ $1$[$\mathrm{m^2}$] ($1\,000\,000\,\mathrm{mm^2}$ は $1\,\mathrm{m^2}$ になる)
断面積が $S$[$\mathrm{mm^2}$]だったら、これも同じようにして、$S$ に $10^{-6}$ をかけます。
$S$[$\mathrm{mm^2}$]$\times\color{#ff3333}{10^{-6}}$ ⇒ $S\times 10^{-6}$[$\mathrm{m^2}$] ($S$[$\mathrm{mm^2}$]は $S\times 10^{-6}$[$\mathrm{m^2}$]になる)
もし、$\mathrm{mm^2}$ を $\mathrm{m^2}$ に直すときに $10$ の何乗だったか忘れてしまった場合は、$1$ 平方メートルは何平方ミリメートルになるか考えてみると分かります。
- $1\,\mathrm{cm}$ は $10\,\mathrm{mm}$
- $10\,\mathrm{cm}$ は $100\,\mathrm{mm}$
- $100\,\mathrm{cm}$( $1\,\mathrm{m}$ )は $1\,000\,\mathrm{mm}$
ということは、
- $1\,\mathrm{m^2}$ は $1\,000\,\mathrm{mm}\times1\,000\,\mathrm{mm}$ で、$1\,000\,000\,\mathrm{mm^2}$ ($\mathrm{m^2}$ と $\mathrm{mm^2}$ は $1:1\,000\,000$ )
となるから、$\mathrm{mm^2}$ を $\mathrm{m^2}$ に直すときは $1\,000\,000$( $=10^6$ )で割る。ということは、$10^{-6}$ をかけるんだー!てな感じで。
$\dfrac{1}{1\,000\,000} =\dfrac{1}{10^6} =10^{-6}$ になります。なので、$1\,000\,000$ で割るというのは、$10^{-6}$ をかけるのと同じです。
この $\mathrm{mm^2}$ から $\mathrm{m^2}$ への換算は、他の抵抗の計算問題を解くときにも使うのでおぼえておきましょう。
電線の太さが直径の電線の抵抗の公式
電線の太さが直径の電線の抵抗の公式は次のような公式で、この公式の電線の太さは直径で与えられます。
電線の太さが直径の電線の抵抗の公式:$R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}$ …③
③式の $R$ は電線の抵抗[$\Omega$]、$\rho$ は電線の抵抗率[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$]、$L$ は電線の長さ[$\mathrm{m}$]、$D$ は電線の直径[$\mathrm{m}$]を表わし、③式は、電線の抵抗率 $\rho$ 、電線の長さ $L$ 、電線の直径 $D$ が分かれば、電線の抵抗 $R$ を求めることができますよ、という式です。
③式中の $\pi$ は円周率( $\pi\fallingdotseq 3.14$ )で、円の面積とかを求めるときによく使うやつですね。円の面積 $=\pi\times r^2$( $\text{円周率}\times\text{半径}^2$ )みたいなね。
この③式は「電線の太さが直径で表わされた電線の抵抗」を求めるときによく使われる公式ですが、③式には電線の抵抗率 $\rho$ が含まれているので、③式を変形することで、③式から電線の抵抗率 $\rho$ を表わす式( $\rho =\cdots$ の式)をつくることもできます。
③式から電線の抵抗率 $\rho$ を表わす式をつくるときは、次のように③式を変形します。
$R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}$ (③式)
$\pi D^2\times R=4\rho L$ (両辺に $\pi D^2$ をかけた)
$\dfrac{\pi D^2R}{4L} =\rho$ (両辺を $4L$ で割った)
$\therefore \rho =\dfrac{\pi D^2R}{4L}$ (電線の抵抗率 $\rho$ を表わす式)
変形できた!
電線の太さが直径の電線の抵抗の公式の場合も、このようにすると、電線の抵抗の公式から電線の抵抗率の式をつくることができます。
電線の太さが直径の電線の抵抗の公式については、ここでは「③式」と「電線の抵抗の公式から電線の抵抗率の式をつくることができる」をおぼえておけばいいのですが、ここでも、ちょっとだけ注意することがあります。(これも、ちょっとじゃないけど…。)
そ、それは、ここでも単位です!
③式中の $D$ は電線の直径を表わしますが、この $D$ の単位は$\boldsymbol{\mathrm{m}}$(メートル)です。
なので、問題に書かれている電線の直径の単位が「 $\mathrm{mm}$ 」(ミリメートル)だったら、その電線の直径を「 $\mathrm{mm}$ 」(ミリメートル)から「 $\mathrm{m}$ 」(メートル)に直して③式の公式に代入しなければなりません。(換算が必要ってことです。)
$\mathrm{mm}$(ミリメートル)を $\mathrm{m}$(メートル)に直す(換算する)ときは、$\mathrm{mm}$(ミリメートル)の値に $10^{-3}$ をかけます。例えば、$1\,000\,\mathrm{mm}$(千ミリメートル) …④ をメートルに直すときは、④の値に $10^{-3}$ をかけます。
$1\,000$[$\mathrm{mm}$]$\times\color{#ff3333}{10^{-3}}$ ⇒ $1$[$\mathrm{m}$] ($1\,000\,\mathrm{mm}$ は $1\,\mathrm{m}$ になる)
導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題の問題文には、よく直径 $\boldsymbol{D}$[$\boldsymbol{\mathrm{mm}}$]と書いてあるんですけど、これをメートルに直すときも、同じように $10^{-3}$ をかけます。
$D$[$\mathrm{mm}$]$\times\color{#ff3333}{10^{-3}}$ ⇒ $D\times 10^{-3}$[$\mathrm{m}$] ($D$[$\mathrm{mm}$]は $D\times 10^{-3}$[$\mathrm{m}$]になる)
もし、$\mathrm{mm}$ を $\mathrm{m}$ に直すときに $10$ の何乗だったか忘れてしまった場合は、次のように $1$ センチは何ミリで…、と書いてみると分かります。
- $1\,\mathrm{cm}$ は $10\,\mathrm{mm}$
- $10\,\mathrm{cm}$ は $100\,\mathrm{mm}$
- $100\,\mathrm{cm}$( $1\,\mathrm{m}$ )は $1\,000\,\mathrm{mm}$ ($\mathrm{m}$ と $\mathrm{mm}$ は $1:1\,000$ )
となるから、$\mathrm{mm}$ を $\mathrm{m}$ に直すときは $1\,000$( $=10^3$ )で割る。ということは、$10^{-3}$ をかけるんだー!てな感じで。
$\dfrac{1}{1\,000} =\dfrac{1}{10^3} =10^{-3}$ になります。なので、$1\,000$ で割るというのは、$10^{-3}$ をかけるのと同じです。
この $\mathrm{mm}$ から $\mathrm{m}$ への換算は、他の抵抗の計算問題を解くときにも使うので、先ほどの $\mathrm{mm^2}$ から $\mathrm{m^2}$ への換算といっしょにおぼえておきましょう。
- $\mathrm{mm^2}$ から $\mathrm{m^2}$ へ換算するときは、$10^{-6}$ をかける
- $\mathrm{mm}$ から $\mathrm{m}$ へ換算するときは、$10^{-3}$ をかける
以上の「電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式」と「電線の太さが直径の電線の抵抗の公式」をおぼえたら、導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題を解くための基礎知識はOKです!(このページに掲載している問題は、どちらか一つの公式をおぼえておけば解けるんですけどね。)
では、過去に第二種電気工事士学科試験で出題された過去問題を解いてみましょう!
断面積の公式から直径の公式を導出できる!
次のようにすると、「電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式」から「電線の太さが直径の電線の抵抗の公式」を導くことができます。
$R=\rho\dfrac{L}{S}$ …⑤ (電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式)
この公式の「 $S$ 」は断面積なので、電線の直径を $D$ とした場合、断面積 $S$ は、
$S=\pi\times\left( \dfrac{D}{2}\right)^2$ …⑥
$=\pi\times\dfrac{D^2}{4} =\dfrac{\pi D^2}{4}$
$\therefore S=\dfrac{\pi D^2}{4}$ …⑦ と表わせます。
⑥では、円の面積の公式( $\text{円周率}\pi\times\text{半径}^2$ )を使っています。$D$ は直径なので、半径は $\dfrac{D}{2}$ になります。
この⑦を⑤式に代入します。
$R=\rho\dfrac{L}{S}$ (⑤式)
$=\rho\dfrac{L}{\color{#ff3333}{\dfrac{\pi D^2}{4}}}$ (⑦を⑤式に代入した)
$=\dfrac{\rho L}{\dfrac{\pi D^2}{4}} =\rho L\times\dfrac{4}{\pi D^2} =\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}$
$\therefore \color{#ff3333}{R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}}$ (電線の太さが直径の電線の抵抗の公式)
導出できた!
以上のように円の面積の公式を使うと、「電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式」から「電線の太さが直径の電線の抵抗の公式」を導くことができるので、「電線の太さが直径の電線の抵抗の公式」を忘れてしまったときは計算してみるといいと思います。
2つの公式どっちも忘れてしまったときはどうしましょう…。
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導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題(過去問題)と解き方
電気抵抗 $R$[$\Omega$]、直径 $D$[$\mathrm{mm}$]、長さ $L$[$\mathrm{m}$]の導線の抵抗率[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$]を表す式は。
イ.$\dfrac{\pi DR}{4L\times 10^3}$ロ.$\dfrac{\pi D^2R}{L^2\times 10^6}$ハ.$\dfrac{\pi D^2R}{4L\times 10^6}$ニ.$\dfrac{\pi DR}{4L^2\times 10^3}$
出題:令和3年度下期午前問2平成26年度上期問4
解き方
この問題は、電気抵抗が $R$[$\Omega$]、直径が $D$[$\mathrm{mm}$]、長さが $L$[$\mathrm{m}$]の導線の抵抗率[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$]を表わす式を求める問題です。
問題を読んでみると、導線の太さが直径で与えられているので、この問題を、先ほどおぼえた電線の太さが直径の電線の抵抗の公式を使って解いてみましょう。
$R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}$ (電線の太さが直径の電線の抵抗の公式)
$R$:電線の抵抗[$\Omega$] $\rho$:電線の抵抗率[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$] $L$:電線の長さ[$\mathrm{m}$] $D$:電線の直径[$\mathrm{m}$]
ここでは、はじめに問題の導線の電気抵抗 $R$[$\Omega$]を求め(導線の抵抗率は $\rho$[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$]とする)、そのあとに導線の電気抵抗 $R$ の式を変形して導線の抵抗率 $\rho$ を表わす式を求める。という解き方をします。
この公式を使うときは、単位に注意!するのでした。公式の単位と問題の単位を並べて比べてみると次のようになります。
公式の単位 | 問題の単位 | |
---|---|---|
抵抗(電気抵抗) | $\Omega$ | $\Omega$ |
抵抗率 | $\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$ | $\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$ |
長さ | $\mathrm{m}$ | $\mathrm{m}$ |
直径 | $\mathrm{m}$ | $\mathrm{mm}$ |
上の表をみると分かるように、抵抗(電気抵抗)、抵抗率、長さの単位は同じですが、直径の単位が違いますね。公式の直径の単位は「 $\mathrm{m}$ 」(メートル)ですが、問題の直径の単位は「 $\mathrm{mm}$ 」(ミリメートル)になっています。なので、問題の直径は、$\mathrm{mm}$ から $\mathrm{m}$ へ換算しなければなりません。
$\mathrm{mm}$ から $\mathrm{m}$ へ換算するときは $10^{-3}$ をかければよかったので、問題の直径 $D$ に $10^{-3}$ をかけると、$D\times 10^{-3}$ となり、これが「 $\mathrm{m}$ 」(メートル)に換算した問題の直径になります。
これで公式と問題の単位がそろったので、公式に各値を代入します。
導線の抵抗率は問題で与えられていないので(導線の抵抗率を求める問題だからないよね)、導線の抵抗率は $\rho$[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$]として問題の各値を公式に代入してみましょう。
$R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}$ (電線の太さが直径の電線の抵抗の公式)
$\color{#ff3333}{R}=\dfrac{4\rho\color{#ff3333}{L}}{\pi\times\left( \color{#ff3333}{D\times 10^{-3}}\right)^2}$ …① (問題の各値を代入した)
$=\dfrac{4\rho L}{\pi\times D^2\times\left( 10^{-3}\right)^2}$
$=\dfrac{4\rho L}{\pi\times D^2\times 10^{-6}}$ ($10^{-3}$ の2乗は $10^{-6}$ になります)
$=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}\times 10^6$ ($\dfrac{1}{10^{-6}}$ は $10^6$ になります)
$\therefore R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}\times 10^6$ …② (導線の抵抗率を $\rho$ とした場合の問題の導線の電気抵抗 $R$ )
導線の抵抗率を $\rho$ とした場合の問題の導線の電気抵抗 $R$ が求められたので、あとは②式を変形して導線の抵抗率 $\rho$ を表わす式( $\rho =\cdots$ の式)を求めるだけです。②式を変形してみましょう。
$R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}\times 10^6$ (②式)
$\pi D^2\times R=4\rho L\times 10^6$ (両辺に $\pi D^2$ をかけた)
$\dfrac{\pi D^2R}{4L\times 10^6} =\rho$ (両辺を $4L\times 10^6$ で割った)
$\therefore \rho =\dfrac{\pi D^2R}{4L\times 10^6}$ (これが求める抵抗率を表わす式)
したがって、「ハ」の $\dfrac{\pi D^2R}{4L\times 10^6}$ が正解になります。
ちなみに、ここでやっている計算方法を簡単にまとめると、
❶各値の単位を電線の抵抗の公式の単位に合わせる
❷各値を電線の抵抗の公式に代入して電気抵抗を求める(抵抗率は $\rho$ とする)
❸電気抵抗の式を変形して抵抗率の式を求める
となります。
公式さえおぼえておけば、単位に注意して各値を公式に代入し、あとは式を変形するだけなのね。(公式って大事だなー。)
なお、ここの解説では、導線の電気抵抗 $R$ をきっちり求めてから導線の抵抗率 $\rho$ を求めましたが、問題の各値を代入した①式( $\color{#ff3333}{R}=\dfrac{4\rho\color{#ff3333}{L}}{\pi\times\left( \color{#ff3333}{D\times 10^{-3}}\right)^2}$ )から導線の抵抗率 $\rho$ を直接求めてもかまいません。
①式から導線の抵抗率 $\rho$ を直接求めるときは、次のように計算します。
$R=\dfrac{4\rho L}{\pi\times\left( D\times 10^{-3}\right)^2}$ (①式)
$R=\dfrac{4\rho L}{\pi\times D^2\times\left( 10^{-3}\right)^2}$
$R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2\times 10^{-6}}$ ($10^{-3}$ の2乗は $10^{-6}$ になります)
$\pi D^2\times 10^{-6}\times R=4\rho L$ (両辺に $\pi D^2\times 10^{-6}$ をかけた)
$\dfrac{\pi D^2 R\times 10^{-6}}{4L} =\rho$ (両辺を $4L$ で割った)
$\dfrac{\pi D^2 R}{4L\times 10^6} =\rho$ ($10^{-6}$ は $\dfrac{1}{10^6}$ になります)
$\therefore \rho =\dfrac{\pi D^2 R}{4L\times 10^6}$ (導線の抵抗率 $\rho$ の式)
導線の抵抗率 $\rho$ が求められた!(そんなに変わりない計算だけど…。)
電気抵抗 $R$ を求めてから抵抗率 $\rho$ を求めても、抵抗率 $\rho$ を直接求めても、どっちでもよし!
なんですけど、第二種電気工事士学科試験では、この問題と同じような問題で「導線の電気抵抗を表わす式を求める計算問題」が出題される場合もあります。
なので、「電気抵抗 $R$ を表わす式」もきっちりと求められるようにしておきましょう。
解答:ハ
問題1の別解①(電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式を使う方法)
この問題は、電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式を使っても解くことができます。
どうやって?
こうやります!
「電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式」は、次のような公式でした。
$R=\rho\dfrac{L}{S}$ (電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式)
$R$:電線の抵抗[$\Omega$] $\rho$:電線の抵抗率[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$] $L$:電線の長さ[$\mathrm{m}$] $S$:電線の断面積[$\mathrm{m^2}$]
この公式は、電線の抵抗率 $\rho$ 、電線の長さ $L$ 、電線の断面積 $S$ が分かれば、電線の抵抗 $R$ を求めることができますよ、という公式なのでした。
ここで、問題を見てみると、導線の抵抗(電気抵抗)は分かっている(与えられている)、導線の抵抗率は求めるものだから分からなくていい(導線の抵抗率は $\rho$[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$]としよう!)、導線の長さは分かっている(与えられている)、導線の断面積は…分からない!どこみてもない!
でも、導線の直径は分かっていますね!(直径 $D$[$\mathrm{mm}$]って書いてある。)
ということは…、
導線の直径は分かっている (問題に書いてある)
導線の半径が分かる (直径を $2$ で割ればいいだけ)
導線の断面積が分かる! (円の面積の公式( $\text{円周率}\pi\times\text{半径}^2$ )を使う)
ということなので、断面積は直径から求めることができる!
では、断面積 $S$ を求めてみましょう。導線の半径は、$D$[$\mathrm{mm}$]をメートルに換算して $2$ で割った $\dfrac{D\times 10^{-3}}{2}$ ですよ!
$S=\pi\times\left( \dfrac{D\times 10^{-3}}{2}\right)^2$ (円の面積の公式を使った)
$=\pi\times\dfrac{D^2\times\left( 10^{-3}\right)^2}{2^2}$
$=\pi\times\dfrac{D^2\times 10^{-6}}{4}$ ($10^{-3}$ の2乗は $10^{-6}$ になります)
$=\dfrac{\pi D^2\times 10^{-6}}{4}$
$\therefore S=\dfrac{\pi D^2\times 10^{-6}}{4}$ (これが断面積 $S$[$\mathrm{m^2}$])
導線の半径を $\mathrm{m}$(メートル)に換算してから断面積 $S$ を計算しているので、上式の断面積 $S$ の単位は $\mathrm{m^2}$(平方メートル)になります。
断面積 $S$[$\mathrm{m^2}$]が求められたので、問題の各値を公式に代入してみましょう。(導線の抵抗率は $\rho$[$\Omega\,\cdotp\mathrm{m}$]とします。)
$R=\rho\dfrac{L}{S}$ (電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式)
$\color{#ff3333}{R}=\rho\dfrac{\color{#ff3333}{L}}{\color{#ff3333}{\dfrac{\pi D^2\times 10^{-6}}{4}}}$ …③ (問題の各値と求めた断面積の値を代入した)
$=\dfrac{\rho L}{\dfrac{\pi D^2\times 10^{-6}}{4}}$ $=\rho L\times\dfrac{4}{\pi D^2\times 10^{-6}}$ $=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2\times 10^{-6}}$
$=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}\times 10^6$ ($\dfrac{1}{10^{-6}}$ は $10^6$ になります)
$\therefore R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}\times 10^6$ …④ (導線の抵抗率を $\rho$ とした場合の問題の導線の電気抵抗 $R$ )
導線の抵抗率を $\rho$ とした場合の問題の導線の電気抵抗 $R$ が求められたので、あとは④式を変形して導線の抵抗率 $\rho$ を表わす式( $\rho =\cdots$ の式)を求めるだけです。④式を変形してみましょう。
$R=\dfrac{4\rho L}{\pi D^2}\times 10^6$ (④式)
$\pi D^2\times R=4\rho L\times 10^6$ (両辺に $\pi D^2$ をかけた)
$\dfrac{\pi D^2R}{4L\times 10^6} =\rho$ (両辺を $4L\times 10^6$ で割った)
$\therefore \rho =\dfrac{\pi D^2R}{4L\times 10^6}$ (これが求める抵抗率を表わす式)
したがって、「ハ」の $\dfrac{\pi D^2R}{4L\times 10^6}$ が正解になります。
別解①の場合、断面積の計算をしないといけないので、先ほどの解き方よりも計算が多くなりますね。2つの公式どちらもおぼえている場合は、「電線の太さが直径の電線の抵抗の公式」を使った方が計算が少なくなるのでいいかなと思います(この問題の場合)。計算が減ると計算ミスも減るので。
基本的に、問題の電線(導線)の太さが断面積で与えられているときは「電線の太さが断面積の電線の抵抗の公式」、電線(導線)の太さが直径で与えられているときは「電線の太さが直径の電線の抵抗の公式」を使うと計算が少なくなります。
なお、ここの解説でも、導線の電気抵抗 $R$ をきっちり求めてから導線の抵抗率 $\rho$ を求めましたが、問題の各値と求めた断面積の値を代入した③式( $\color{#ff3333}{R}=\rho\dfrac{\color{#ff3333}{L}}{\color{#ff3333}{\dfrac{\pi D^2\times 10^{-6}}{4}}}$ )から導線の抵抗率 $\rho$ を直接求めてもかまいません。
③式から導線の抵抗率 $\rho$ を直接求めるときは、次のように計算します。
$R=\rho\dfrac{L}{\dfrac{\pi D^2\times 10^{-6}}{4}}$ (③式)
$\dfrac{\pi D^2\times 10^{-6}}{4}\times R=\rho L$ (両辺に $\dfrac{\pi D^2\times 10^{-6}}{4}$ をかけた)
$\dfrac{\pi D^2R\times 10^{-6}}{4L} =\rho$ (両辺を $L$ で割った)
$\dfrac{\pi D^2R}{4L\times 10^6} =\rho$ ($10^{-6}$ は $\dfrac{1}{10^6}$ になります)
$\therefore \rho =\dfrac{\pi D^2 R}{4L\times 10^6}$ (導線の抵抗率 $\rho$ の式)
導線の抵抗率 $\rho$ が求められた!(こっちの方が計算が少ないですね。)
電気抵抗 $R$ を求めてから抵抗率 $\rho$ を求めても、抵抗率 $\rho$ を直接求めても、どっちでもよし!(ただし、「導線の電気抵抗を表わす式を求める計算問題」が出題される場合もあるので、電気抵抗 $R$ を表わす式はいつでも求められるようにしておきましょう。)
解答:ハ
導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題の解き方の解説は以上になりますが、導線の抵抗率を表わす式を求める計算問題を解くためには、電線の抵抗の公式の知識が必要になります。
このページに掲載している電線の抵抗の公式は、第二種電気工事士学科試験で出題されている他の抵抗の計算問題を解くときにもよく使う基本公式ですので、必ずおぼえておくようにしましょう。基本は大事!
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- 2本の銅線の抵抗の比を求める計算問題の解き方
- 第二種電気工事士学科試験で出題されている「2本の銅線の抵抗の比を求める計算問題」の解き方について解説しています。問題には過去問題を使っていますので、過去問題の勉強にもなると思います。問題の解き方の他に、問題を解くために必要な基礎知識などについても解説していますので、計算問題の勉強に活用してみてください。