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電験三種「理論」平成21年度 問9の過去問と解説

電験三種「理論」平成21年度問9の過去問の解説です。

電験三種「理論」平成21年度(2009年度) 問9

電験三種「理論」の平成21年度問9(A問題)の問題です。
電験三種「理論」平成21年度(2009年度)問9の問題

この問題を解くためのポイント

この問題を解くためのポイントは、

  1. 与えられた電流の式の意味は分かりますか? グラフは書けますか?
  2. $\sin$ の方程式から角度を求められますか?
  3. 問題文に何故「初めて」と書かれてあるのでしょうか?

です。

電験三種「理論」平成21年度(2009年度) 問9(A問題)の解説

この過去問は正弦波交流電流についての問題で、電流の瞬時値がある値(この場合 $4\,\mathrm{A}$)になるときの時刻を求める問題です。電気の問題というよりも、ほぼ数学の問題ですね。

 

まず、この電流の式はどんな式なのか? 考えてみましょう。

 

正弦波交流電流 $i$ の式(瞬時値の式)は、最大値を $I_m$ 、角周波数を $\omega$、位相を $\theta$ とすると、次のような式で表わされますよね?

 

$i=I_m\sin\left(\omega t+\theta\right)$ …@

 

この@式と問題で与えられている電流の式を見比べてみると、次のように対応しています。

 

正弦波交流電流の一般式と問題の電流の式との対応

 

なので、問題で与えられている電流は、最大値が $4\sqrt{2}$、角周波数が $120\pi$(「$\pi$」ってパイです)、位相が $0$(ゼロ)の正弦波交流電流ということになります。

 

では、電流のグラフを書いてみましょう。グラフを書いてみると次のようになります。

 

電流iのグラフの説明図

 

それで問題は、「$4\,\mathrm{A}$ になる時刻は?」なので、上のグラフで電流が $4\,\mathrm{A}$ になるところの時刻が分かればいいということですね。グラフに $4\,\mathrm{A}$ の線を引いてみましょう。

 

4Aの線を引いた電流iのグラフ

 

そうすると、電流が $4\,\mathrm{A}$ になるところが上のグラフの赤い丸になり、その赤い丸のところの時刻が $4\,\mathrm{A}$ になる時刻になりますよね?

 

この赤い丸のところの時刻を求めれば電流が $4\,\mathrm{A}$ になる時刻を求められますが、正弦波は同じ波形が繰り返されるので、この赤い丸はず〜っと同じように続いていきます。

 

すると、求める答がいっぱいありそうですが、問題文には「時刻 $t=0$[$\mathrm{s}$]以降に初めて $4\,\mathrm{A}$ になる時刻は?」と書いてあるので、求める時刻は初めの赤い丸の時刻だけということになります。

 

求めなければならない時刻の説明図

 

では、初めて $4\,\mathrm{A}$ になるときの時刻を求めてみましょう。時刻を求めるためには、与えられた電流の式に $i=4\,\mathrm{A}$ を代入して時刻 $t_1$ を求めればいいです。電流の式に $i=4\,\mathrm{A}$ を代入すると、

 

$4=4\sqrt{2}\sin 120\pi t_1$

 

となるので、これを $t_1$ について解きましょう。

 

$1=\sqrt{2}\sin 120\pi t_1$ 、 $\sin 120\pi t_1=\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ 、 $120\pi t_1=\sin^{-1}\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ …A

 

$\sin\theta$ が $\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ になるのは、$\dfrac{\pi}{4}$、$\dfrac{3\pi}{4}$、$\dfrac{9\pi}{4}$、…ですが、問題文に書かれている条件「初めて」より、A式は、

 

$120\pi t_1=\dfrac{\pi}{4}$ となります。計算を続けると、

 

$t_1=\dfrac{\pi}{120\pi\times 4} =\dfrac{1}{120\times 4} =\dfrac{1}{480}$

 

$\therefore t_1=\dfrac{1}{480}$ [$\mathrm{s}$] …(答)

 

となり、正解は(1)になります。

 

この問題を解くために使った公式

 

正弦波交流電流の公式:$i=I_m\sin\left(\omega t+\theta\right)$

 

三角関数の公式($\sin$):$\sin\theta =\dfrac{b}{c}$

 

角度を求める公式($\sin$):$\theta =\sin^{-1}\dfrac{b}{c}$

 

 


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補足@|正弦波交流電流のグラフについて

このページの解説の正弦波交流電流のグラフは、横軸を $\omega t$[$\mathrm{rad}$]としていますが、横軸を時間 $t$[$\mathrm{s}$]として書くこともできます。

 

横軸がωtとtの電流のグラフ

 

ただし、横軸の物理量(ラジアン($\mathrm{rad}$)か? 秒か?)が異なるので、横軸の値が異なることに注意しましょう。
ちなみに、1周期($2\pi$)のところを時間に直すと、
$120\pi t=2\pi$ より、$t=\dfrac{2\pi}{120\pi} =\dfrac{1}{60} =0.0166\cdots$[$\mathrm{s}$] となります。

補足A|問題の電流の式の周波数は何Hz?

問題で与えられている正弦波交流電流の角周波数 $\omega$ は式より、$\omega =120\pi$ ですね。
すると、角周波数と周波数の関係式 $\omega =2\pi f$ より、$2\pi f=120\pi$ なので、
$\therefore f=\dfrac{120\pi}{2\pi} =60$ [$\mathrm{Hz}$] となります。
なので、問題で与えられている電流は、西日本の電源の周波数 $60\,\mathrm{Hz}$ と同じということになります。

 

 

 

正弦波交流の式とグラフは正弦波交流回路を考えるときの基本なので、式の意味をおぼえ、グラフを書けるようにしておきましょう。

本ページに掲載の問題は、(一財)電気技術者試験センターが作成した第三種電気主任技術者試験(電験三種)の問題です。

 

 

 

おすすめの電験三種の過去問はこちら電験三種の参考書はこちら電験三種用の数学参考書はこちら電験三種の通信教育はこちらで紹介していますので参考にしてみてください。

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