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水力発電所の出力と有効落差の関係

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次のような水力発電所を考え、この水力発電所の出力(発電機の出力)と有効落差にはどのような関係が成り立つのか考えてみます。

 

水力発電所の概略構成

 

水力発電所の出力 PG は、水の流量を Qm3/s]、有効落差を Hm]、水車効率を ηT、発電機効率を ηG とすると次式で与えられます。

 

PG=9.8QHηTηG [kW] …①

 

水車の効率 ηT と発電機の効率 ηG を一定とすれば ηTηG は定数となるので、①式より水力発電所の出力 PG は、次式で表わされるように水の流量 Q および有効落差 H に比例します。

 

PGQH …②

 

水の流量 Q は、水圧管の断面積を Am2]、水の流速を vm/s]とすると、Q=Avm3/s]となるので、これを②式に代入すると次の関係式が得られます。

 

PGQH=AvH

 

PGAvH …③

 

水の流速と流量の関係式

 

さらに、水の流速 v と有効落差 H との関係は、次式で与えられます。

 

v=Cv2gH …④

 

ここで、Cv は速度係数、g は重力加速度です。

 

したがって④式より、速度係数 Cv と重力加速度 g は定数であるので、次の関係式が得られます。

 

vH …⑤

 

以上③式と⑤式より、

 

PGAvHAHHAH32 H32

 

PGH32

 

となり、水力発電所の出力 PGkW]は有効落差 Hm]の32乗に比例します。

 

ここで与えられている水力発電所の出力 PG の単位は、kW であることに注意しましょう。

 

補足

水の流速と有効落差の関係式について

④式の水の流速 v と有効落差 H の関係式は、次のようにして導出されます。
ある基準レベル(高さ 0m )から高さ Hm]にある水が、基準レベルの位置で流速が vm/s]であったとします。
このとき、水の質量を mkg]とすると、エネルギーの保存則から次式が成り立ちます。

 

エネルギー保存則の式

 

上式を流速 v で整理すると、
2gH=v2  v=2gH …⑥
水の粘性、摩擦を考えない場合は⑥式でもよいのですが、実際の水には粘性、摩擦があります。このため水の流速 v は、⑥式よりも若干小さい速さになります。
この若干小さくなる流速 v を表現するために速度係数 Cv が用いられ、水の流速 v は次式で与えられます。
v=Cv2gH [m/s

 

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