スポンサーリンク



単位ステップ関数のラプラス変換

ページ内にPR・広告が含まれる場合があります。

次のように、$f(t) = 1 \quad ( t \geqq 0 )$ で表わされるような関数を単位ステップ関数といいます。

 

$f(t) = \begin{cases} 1 & ( t \geqq 0 ) \\ 0 & ( t \lt 0 ) \end{cases}$

 

単位ステップ関数のグラフ

 

この単位ステップ関数 $f(t)$ のラプラス変換 $F(s)$ を求めてみます。

 

ラプラス変換の定義式より、$F(s)$ は次式となります。

 

$F(s) = \displaystyle\int_0^\infty f(t) \, e^{-st} \, dt$ $= \displaystyle\int_0^\infty 1 \cdot e^{-st} \, dt$ $= \displaystyle\int_0^\infty e^{-st} \, dt$

 

$\therefore F(s) = \displaystyle\int_0^\infty e^{-st} \, dt$ …①

 

したがって、①式の積分を計算すると、単位ステップ関数のラプラス変換が求められます。

 

$F(s) = \displaystyle\int_0^\infty e^{-st} \, dt = \left[ \dfrac{e^{-st}}{-s} \right]_0^\infty$

 

$t$ で積分なので、$s$ は定数と同じように扱えるので $\dfrac{1}{-s}$ を前に出します。

 

$F(s) = - \dfrac{1}{s} \left[ e^{-st} \right]_0^\infty = - \dfrac{1}{s} \left[ \dfrac{1}{e^{st}} \right]_0^\infty$ $= - \dfrac{1}{s} \left[ \dfrac{1}{e^\infty} - \dfrac{1}{e^0} \right]$

 

ここで、$\dfrac{1}{e^\infty} = 0$ 、$\dfrac{1}{e^0} = \dfrac{1}{1} = 1$ であるので、

 

$F(s) = - \dfrac{1}{s} ( 0-1 ) = \dfrac{1}{s}$

 

したがって、単位ステップ関数のラプラス変換は、

 

$\therefore F(s) = \dfrac{1}{s}$ となります。

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク


 

ランプ関数のラプラス変換

次のように、$f(t) = t \quad ( t \geqq 0 )$ で表わされるような関数をランプ関数といいます。

 

$f(t) = \begin{cases} t & ( t \geqq 0 ) \\ 0 & ( t \lt 0 ) \end{cases}$

 

ランプ関数のグラフ

 

このランプ関数 $f(t) = t$ のラプラス変換 $F(s)$ を求めてみます。

 

ラプラス変換の定義式より、$F(s)$ は次式となります。

 

$F(s) = \displaystyle\int_0^\infty f(t) \, e^{-st} \, dt$ $= \displaystyle\int_0^\infty t \cdot e^{-st} \, dt$

 

$\therefore F(s) = \displaystyle\int_0^\infty t \, e^{-st} \, dt$ …①

 

積分の中の関数は、$t$ と $e^{-st}$ の2つの関数で表わされているので、積の微分の公式から $F(s)$ を求めます。(部分積分の公式から直接下記の②式を導いてもOKです。)

 

積の微分の公式より、関数 $t$ と $e^{-st}$ の積の微分は、

 

$( t \cdot e^{-st} )^\prime = (t)^\prime \cdot e^{-st} + t \cdot ( e^{-st} )^\prime$

 

両辺をそれぞれ $0$ から $\infty$ の区間で積分すると、

 

$\displaystyle\int_0^\infty ( t \cdot e^{-st} )^\prime \, dt$ $= \displaystyle\int_0^\infty (t)^\prime \cdot e^{-st} \, dt + \int_0^\infty t \cdot ( e^{-st} )^\prime \, dt$

 

$\left[ t \cdot e^{-st} \right]_0^\infty$ $= \displaystyle\int_0^\infty e^{-st} \, dt + \int_0^\infty t \cdot (-s) e^{-st} \, dt$

 

$\left[ t \cdot e^{-st} \right]_0^\infty$ $= \displaystyle\int_0^\infty e^{-st} \, dt - s \int_0^\infty t \cdot e^{-st} \, dt$

 

$s \displaystyle\int_0^\infty t \cdot e^{-st} \, dt$ $= -\left[ t \cdot e^{-st} \right]_0^\infty + \displaystyle\int_0^\infty e^{-st} \, dt$

 

両辺を $s$ で割って、

 

$\displaystyle\int_0^\infty t \cdot e^{-st} \, dt$ $= -\dfrac{1}{s} \left[ t \cdot e^{-st} \right]_0^\infty + \dfrac{1}{s} \displaystyle\int_0^\infty e^{-st} \, dt$ …②

 

②式の左辺が①式の右辺と等しいので、①式の左辺=②式の右辺とおくと次式が成り立ちます。

 

$F(s)$ $= -\dfrac{1}{s} \left[ \dfrac{t}{e^{st}} \right]_0^\infty + \dfrac{1}{s} \displaystyle\int_0^\infty e^{-st} \, dt$ $= -\dfrac{1}{s} \left( \dfrac{\infty}{e^\infty} - \dfrac{0}{e^0} \right) + \dfrac{1}{s} \left[ \dfrac{e^{-st}}{-s} \right]_0^\infty$ …③

 

ここで③式第1項について $\dfrac{\infty}{e^\infty} = 0$ 、$\dfrac{0}{e^0} =0$ であり、また、第2項の $\dfrac{1}{-s}$ を前に出すと、

 

$F(s) = -\dfrac{1}{s} (0-0) - \dfrac{1}{s^2} \left[ \dfrac{1}{e^{st}} \right]_0^\infty$ $= 0 - \dfrac{1}{s^2} \left( \dfrac{1}{e^\infty} - \dfrac{1}{e^0} \right)$ $= -\dfrac{1}{s^2} (0-1)$ $= \dfrac{1}{s^2}$ $\because \left( \dfrac{1}{e^\infty} = 0 \ \text{、} \dfrac{1}{e^0} = \dfrac{1}{1} = 1 \right)$

 

したがって、ランプ関数 $f(t) = t$ のラプラス変換 $F(s)$ は、

 

$\therefore F(s) = \dfrac{1}{s^2}$ となります。

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク


 



スポンサーリンク


よく使われる関数のラプラス変換 関連ページ

ラプラス変換の定義式
電気数学の「ラプラス変換」分野の「ラプラス変換の定義式」についてまとめたページです。「ラプラス変換」は自動制御の問題や微分方程式を解く問題でよく使われます。ここでは定義式をおぼえておきましょう。
ラプラス変換の公式
ラプラス変換の計算で使われるラプラス変換の公式についてまとめています。ラプラス変換の公式はラプラス変換の計算をするときの基本になりますので、よく使う公式はおぼえておくようにしましょう。
ラプラス変換の定理・法則
電気数学の「ラプラス変換」分野の「ラプラス変換の定理・法則」についてまとめたページです。「ラプラス変換」は自動制御の問題や微分方程式を解く問題でよく使われます。ここではラプラス変換の定理・法則をおぼえましょう。