配電方式と消費電力

消費電力とは、

 

電源に接続された負荷が消費する電力

 

のことをいいます。(ま、そのまんまなんですが…)

 

例えば次のように、電圧 $V$[$\mathrm{V}$] の交流電源に抵抗負荷(抵抗の負荷)が接続されている簡単な回路を考えてみます。

 

交流電源に抵抗負荷が接続された簡単な回路

 

この回路に流れる電流を $I$[$\mathrm{A}$]とすると、抵抗負荷には $V$[$\mathrm{V}$]の電圧がかかって、$I$[$\mathrm{A}$]の電流が流れることになります。

 

抵抗負荷にはV[V]の電圧がかかってI[A]の電流が流れる

 

すると、この場合の負荷の消費電力 $P$[$\mathrm{W}$]は、

 

$\therefore P=VI$ [$\mathrm{W}$] になります。

 

電力を求める式は「電力=電圧×電流」でしたので、この場合は、単に抵抗の電力を計算すると、それが 消費電力 なんです。ということです。

 

負荷が抵抗だけの場合は、このように電圧と電流をかけ算するだけでいいのですが、負荷にコイルやコンデンサなどがあると、

 

単純に「電圧×電流」で求めることができません。

 

では、どうやって求めればいいのでしょうか?

 

単相2線式配電線の負荷の消費電力

次のように、負荷として抵抗とコイルが直列接続された単相2線式配電線の回路を考えてみましょう。

 

抵抗とコイルが直列接続された単相2線式配電線の回路

 

電源電圧は $V$[$\mathrm{V}$]なので、この回路に流れる電流を $I$[$\mathrm{A}$]とすると、負荷には $V$[$\mathrm{V}$]の電圧がかかって $I$[$\mathrm{A}$]の電流が流れることになります。

 

抵抗とコイルの負荷にはV[V]の電圧がかかってI[A]の電流が流れる

 

この回路の消費電力を求めるときに、先ほどの抵抗だけの回路のように、

 

「電圧×電流=V×I[W]」とすると間違いです!

 

何故でしょうか?

 

2つの回路を見比べてみると、コイルがあるか?ないか?が違いますよね。

 

2つの回路の違い(コイルがない、コイルがある)

 

コイルがあると何を考えなければならないでしょうか?

 

なんとなく分かると思いますが、交流回路の計算をするときにコイルやコンデンサがある場合には 力率 を考えなければなりません。

 

で、負荷の力率を $\cos\theta$ とすると、単相2線式配電線の負荷の消費電力 $P$[$\mathrm{W}$]は、

 

$\therefore P=VI\cos\theta$ [$\mathrm{W}$]

 

と表わされ、電圧と電流をかけたものに、さらに力率をかけた形の式になります。

 

単相2線式配電線の負荷の消費電力を求めるときは力率を掛ける

 

このように、コイルやコンデンサがあるときには力率を考慮しなくてはならないので注意しましょう!

 

ちなみに、抵抗だけの回路の場合には負荷の力率は $\cos\theta =1$ になるので、これを消費電力の式に代入してみると、

 

$P=VI\cos\theta =VI\times 1=VI$

 

$\therefore P=VI$ [$\mathrm{W}$]

 

となり、電圧と電流をかけただけの式になります。

 

 


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三相3線式配電線の負荷の消費電力

次は、三相3線式配電線の負荷の消費電力について考えてみましょう。

 

次のように、一相の負荷として抵抗とコイルが直列接続された三相3線式配電線(負荷Δ結線(デルタ結線))の回路を考えてみます。

 

抵抗とコイルが直列接続された三相3線式配電線(Δ結線(デルタ結線))の回路

 

電源電圧(線間電圧)は $V$[$\mathrm{V}$]なので、この回路に流れる電流(線電流)を $I$[$\mathrm{A}$]とすると、負荷(抵抗とコイルの直列接続)には $V$[$\mathrm{V}$]の電圧がかかって $\dfrac{I}{\sqrt{3}}$[$\mathrm{A}$] の電流が流れることになります。(Δ結線(デルタ結線)の線電流と相電流の関係式より、$\text{相電流} =\dfrac{\text{線電流}}{\sqrt{3}}$ ですよ。)

 

負荷にはV[V]の電圧がかかってI/√3[A]の電流が流れる

 

この回路は三相なので負荷が3つ(三相分)ありますが、一相だけ取り出して考えてみましょう。一相だけ取り出すと、次のような回路になります。(電流は相電流ですよ!)

 

一相だけ取り出した三相3線式配電線(Δ結線(デルタ結線))の回路

 

これを先ほどの単相2線式と同じように考えて、負荷(抵抗とコイルの直列接続)の力率を $\cos\theta$ としてこの回路の消費電力 $P_1$[$\mathrm{W}$]を求めてみると、

 

$P_1=V\times\dfrac{I}{\sqrt{3}}\cos\theta =\dfrac{VI}{\sqrt{3}}\cos\theta$

 

$\therefore P_1=\dfrac{VI}{\sqrt{3}}\cos\theta$ [$\mathrm{W}$]

 

となり、これが一相分の消費電力になります。

 

三相分の消費電力は負荷3つ分なので、一相分の消費電力 $P_1$[$\mathrm{W}$]を3倍すれば三相分の消費電力が求められます。

 

$3\times P_1=3\times\dfrac{VI}{\sqrt{3}}\cos\theta$ $=\dfrac{3\times\sqrt{3}\times VI}{\sqrt{3}\times\sqrt{3}}\cos\theta$ $=\dfrac{3\sqrt{3}}{3} VI\cos\theta$ $=\sqrt{3} VI\cos\theta$

 

したがって、三相3線式配電線の負荷の消費電力 $P$[$\mathrm{W}$]は、

 

$P=\sqrt{3} VI\cos\theta$ [$\mathrm{W}$] になります。

 

三相3線式配電線(Δ結線(デルタ結線))の負荷の消費電力

 

配電方式と負荷の消費電力のまとめ

配電方式と負荷の消費電力の式をまとめると次の表のようになります。

配電方式 消費電力の式
単相2線式 $P=VI$
(負荷が抵抗だけの場合(力率 $\cos\theta =1$))
$P=VI\cos\theta$
(負荷にコイルやコンデンサがある場合(力率 $\cos\theta\neq 1$))
三相3線式 $P=\sqrt{3} VI\cos\theta$

 

赤文字の式は第二種電気工事士の筆記試験の計算問題を解くときによく使うので、公式としておぼえておくといいでしょう。

 

 

 

単相交流回路の3つの電力については有効電力・無効電力・皮相電力(交流回路の3つの電力)のページで、三相3線式の電力の式については三相電力の公式はなぜ√3倍なのか?のページでも解説していますので、参考にしてみるといいと思います。

 

三相3線式の線電流と相電流の関係については、こちらの配電線(配電方式)の種類を参考にしてみましょう。

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